
導入の目的は、属人化した契約管理から脱却し、将来にわたって安心して引き継げる仕組みをつくることでした。
店舗数の拡大や長期契約の増加により、従来の管理方法では限界が見え始める中、いち早くリスクに目を向けて対策に踏み出されたのです。
今回、Pro-Sign導入に至るまでの経緯や、実際に活用して実感された変化について、お話を伺いました。
一番大きかったのは「契約期間の管理」でした。気づかないうちに契約が切れていた、というケースがかなりあったんです。しかも、切れてはいけない契約が切れてしまうことも…。加えて、管理が人に依存してしまっていました。担当者ごとに独自のやり方で整理していて、引き継ぎも十分ではなかったんです。
先輩社員が辞められた際も、ほとんど引き継ぎがなく、頭の中の情報が消えてしまったこともありました。
はい。それに、履歴の管理が不十分でした。
当時の担当は理解していても、後任が「なぜこうなったのか」を理解できない。口約束やメモだけで済んでいた部分もありましたし、地主さんとの過去のトラブルや裁判の経緯など、重要な情報が伝わらないこともありました。
契約期間が長いものが多いのも要因の一つです。20〜30年続く契約では、契約締結時の担当者が更新時にはもう在籍していないことが大半であり、契約の“歴史”を後世に残す仕組みが求められていました。
──契約履歴や交渉の背景が残らないのは、確かに大きな課題ですね
ええ。しかも店舗数が増えて、会社規模も売上1,000億円を超えるようになってきて、個人で把握できる範囲を超えていました。「誰がいつ担当になるかわからない」中で、確実に次世代へ承継できる仕組みが必要だと痛感していました。
まだ完全に使いこなしているとは言えませんが、大きく進展しました。
まず、過去の契約書を一括で取り込めたので、管理が整理されました。これまではPDFや紙で溜まってしまい「やらなきゃ」と思いながら後回しにしていましたが、AIで取り込めるようになったことで効率が大幅に上がりました。
契約更新のアラートも役立っています。特に「事業用定期借地契約」のように切れたら大問題になる契約は、巻き替え交渉に時間がかかるため、事前に把握できるのはとても助かります。
──契約更新のタイミングと店舗改装の計画も関わってきますよね
そうなんです。古い店舗の改装時期と契約満了が重なるケースでは、契約を延長・更新しないと数億円単位の投資ができません。Pro-Signでリスト化して管理できるのは大きな安心材料です。
Pro-Signのカスタマーサクセスチームのサポートは、単なる導入支援にとどまらず、現場の状況を理解した上で、私たちの立場に立った丁寧なフォローをしてくれました。
例えば、入力方法や契約書の取り込み手順だけでなく、「どうすれば自社に合った運用ができるか」という運用面のアドバイスまで一緒に考えてくれました。そのおかげで、単に契約情報を整理するだけでなく、今後の管理体制のあり方まで具体的にイメージできるようになりました。
問い合わせや相談へのレスポンスも非常に早く、現場で起きる細かな疑問や調整にも柔軟に対応してくれたため、安心して導入作業を進められました。こうしたアフターサポートがしっかりしていると「他社にも勧めたい」と思えますし、まさに、単なる導入サポートを超えた“伴走型カスタマーサクセス”を実感しています。
AIによる契約書の自動読み取りです。AIで取り込めれば、チェックだけで済むので「やらなきゃ」と溜め込むことがなくなります。契約情報の精度と効率の両方が改善されました。
本当に精度は高いと思います。
特に賃貸借契約書は難解なものも多いですが、昔の縦書き契約書や旧仮名遣い、旧漢数字の記載も正確に読み取れて、本当に驚きました。入力作業が大幅に削減できましたね。
大量の契約書を紙のまま抱えていた状況から、「PDFをアップロードすれば整理できる」という運用に変わり、AIによる取り込みが仕事の負担を大きく減らしてくれました。
現時点では契約データの取り込みが完了した段階ですが、次の契約更新を迎える際の担当者が注意すべき点をメッセージとして残せるように、履歴や交渉経緯のメモをシステム内に残す仕組みの構築を目指しています。例えば、「次の更新時は賃料を何%上げる約束になっている」といった情報を共有することで、長期契約の経緯を後世に伝えようとしています。
また、人事総務部の雇用契約やリース契約、商品部のリベート契約など、全社の契約書を一元管理できるプラットフォームとしてPro‑Signを活用することを期待しており、おかげさまで社内の利用者が増えてきたので、再度の操作説明会や研修の機会を設けてほしいという声も出ています。
期限アラートのタイミングや通知方法をさらに柔軟に設定できるようにすること、任意項目のカスタマイズを拡充すること、長期契約の引継ぎ情報を残す仕組みを整えることなど、さらなる改善点を挙げながら、部署間でバラバラだった契約管理を一本化するという最終目標に向けて取り組んでいます。
©️PRORED PARTNERS CO., LTD. 2023