賃貸借契約書はいつまで保管したらいいの?各種根拠を網羅して解説します


賃貸契約書は冊子で分厚いですし、何回も更新・巻き直しをして、管理は煩雑になりがちです。
保管場所も取られるため、多くの方の悩みの種になっています。

そのうえ、保管期間も5年、7年、10年といろいろあり、いつまで保管したらいいかわからないと思ったことが1度はあると思います。

本コラムでは、賃貸借契約書の保管期間について法律を交えながら解説します。


目次[非表示]

  1. 1.契約書の保管期間
    1. 1.1.保管期間5年
      1. 1.1.1.理由1:帳簿の裏付け
      2. 1.1.2.理由2:債権等の消滅時効 
    2. 1.2.保管期間7年
      1. 1.2.1.理由1:法定帳簿の保管期間
      2. 1.2.2.理由2:法人の契約書保管義務
    3. 1.3.保管期間10年
  2. 2.賃貸契約書のオススメな保管期間


契約書の保管期間

賃貸借契約書は法律によって一定の期間保存することが定められていますが、具体的な期間は参照する法律によって様々です。

ここでは、よく言われる5年、7年、10年の保管期間について違いを見ていきます。

保管期間5年

まず、5年間の保管が必要な場合ですが、こちらには二つの理由があります。

理由1:帳簿の裏付け

賃貸借契約書の保管期間を明確に規定した法律はありません。
しかし、宅地建物取引業第49条と宅地建物取引業法施行規則第18条には業務に関する帳簿について、以下のように定められています。


  • 宅地建物取引業第49条

(帳簿の備付け)
第四十九条 宅地建物取引業者は、国土交通省令の定めるところにより、その事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え、宅地建物取引業に関し取引のあつたつど、その年月日、その取引に係る宅地又は建物の所在及び面積その他国土交通省令で定める事項を記載しなければならない。
        

参照:e-GOV法令検索
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=327AC1000000176)


  • 宅地建物取引業法施行規則第18条

第十八条 法第四十九条に規定する国土交通省令で定める事項は、次のとおりとする。
(一~九号省略)


2 法第四十九条に規定する宅地建物取引のあつた年月日、その取引に係る宅地又は建物の所在及び面積並びに第一項各号に掲げる事項が、電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスクに記録され、必要に応じ当該事務所において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該記録をもつて法第四十九条に規定する帳簿への記載に代えることができる。


3 宅地建物取引業者は、法第四十九条に規定する帳簿(前項の規定による記録が行われた同項のファイル又は磁気ディスクを含む。)を各事業年度の末日をもつて閉鎖するものとし、閉鎖後五年間(当該宅地建物取引業者が自ら売主となる新築住宅に係るものにあつては、十年間)当該帳簿を保存しなければならない。


参照:e-GOV法令検索
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=332M50004000012_20230526_505M60000802002)

これら法律によると、帳簿は決算日から5年間は保管する必要があります。そのため、帳簿に記載した事実が虚偽でないものであると証明するための裏付け資料として、賃貸借契約書も5年保管しておく必要があるでしょう。

これが5年間保管するべきであるという理由の一つ目です。

なお、当該宅地建物取引業者が自ら売主となる新築住宅に係るものについては、帳簿を10年間保管する必要があるため、この場合は賃貸借契約書も10年間保管することになります。


理由2:債権等の消滅時効 

消滅時効とは、権利が行使されない状態が一定期間継続した場合に、その権利の消滅を認める制度です。つまり、トラブルになった際に賃貸借契約書を証拠とするために、消滅時効までは保管しておくべきです。

この消滅時効の期間は、民法166条1項に以下のように記載されています。


  • 民法166条1項

(債権等の消滅時効)
 第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
 参照:e-GOV法令検索
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)

1号と2号の違いですが、1号は債権者が権利を行使することができることを知った、という主観的な起算点から5年が経過した場合です。そして2号は、債権者が権利を行使できるとき、という客観的な起算点から10が経過した場合です。

これが5年間保管するべきであるという理由の二つ目です。

しかし、2号を考慮するとこちらもやはり10年間の保管が推奨されます。


保管期間7年

続いて7年間保管するべき理由を見ていきます。

理由1:法定帳簿の保管期間

個人事業主は事業に関する取引を帳簿等に記帳し保存する必要があります。
国税庁によると、これら法定帳簿は7年間保管することが原則として定められています。

  • 青色申告

青色申告の記帳は、年末に貸借対照表と損益計算書を作成することができるような正規の簿記によることが原則ですが、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳のような帳簿を備え付けて簡易な記帳をするだけでもよいことになっています。


これらの帳簿および書類などは、原則として7年間保存することとされていますが、書類によっては5年間でよいものもあります。


5年間の保存でよい書類には、例えば、請求書、見積書、納品書、送り状などがあります。


参照:国税庁
 (https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)


  • 白色申告

収入金額や必要経費を記載した帳簿のほか、取引に伴って作成した帳簿や受け取った請求書・領収書などの書類を納税者の住所地や事業所などの所在地に整理して保存する必要があります。


帳簿    

  • 収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)    7年
  • 業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿)   5年


書類    

  • 決算に関して作成した棚卸表その他の書類          5年
  • 業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類   5年


参照:国税庁
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)            

白色申告の場合でも、収入金額等を記載した帳簿は7年間保管しなければなりません。
これらに則り青色申告・白色申告どちらとも賃貸借契約書は7年間保管する必要があります。

理由2:法人の契約書保管義務

法人の場合でも契約書は7年間保管しなければいけないことが法人税法第59条と同法第67条によって定められています。
            

  • 法人税法第59条

第五十九条 青色申告法人は、次に掲げる帳簿書類を整理し、起算日から七年間、これを納税地(第三号に掲げる書類にあつては、当該納税地又は同号の取引に係る国内の事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地)に保存しなければならない。
(以下省略)


参照:e-GOV法令検索
 (https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=340M50000040012_20231001_505M60000040034)


  • 法人税法第67条

第六十七条 法第百五十条の二第一項(帳簿書類の備付け等)に規定する財務省令で定める書類は、次に掲げる書類とする。

一 前条第一項に規定する取引に関して、相手方から受け取つた注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し

二 棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに決算に関して作成されたその他の書類

2 普通法人等は、前条第一項に規定する帳簿及び前項各号に掲げる書類を整理し、第五十九条第二項(帳簿書類の整理保存)に規定する起算日から七年間、これを納税地(前項第一号に掲げる書類にあつては、当該納税地又は同号の取引に係る国内の事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地)に保存しなければならない。

(以下省略)


参照:e-GOV法令検索
 (https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=340M50000040012_20231001_505M60000040034)

これらにより、法人の賃貸借契約書は法人税の申告期限から7年間保管が必要であることが分かります。

ただし、平成30年4月1日以降に開始する事業年度に生じた赤字は10年間、繰り越せることになったため、その年度に関しては契約書の保管期間も10年間になります。


保管期間10年

会社法によって会計帳簿の閉鎖から10年間の保管が義務づけられています。


  • 会社法第432条

第四百三十二条 株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。


2 株式会社は、会計帳簿の閉鎖の時から十年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない。


参照:e-GOV法令検索
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000086)

不動産の仲介会社や管理会社にとって仲介物件の賃貸借契約書は重要な書類にあたるため、10年間の保管が必要です。


賃貸契約書のオススメな保管期間

結論、個人事業主・法人に関わらず10年間の保管をおすすめします。

各保管期間の説明でお気づきになった方もおられるかと思いますが、一般債権の時効や赤字繰り越しの際など5年や7年間の保管が必要なものでも、条件によっては10年間の保管が必要です。

つまり、10年間保管しておけば基本的な状況に対応できるため、それまではしっかりと保管しておく方が安全です。

とはいえ、保管期間を経過した後も、証明や裁判などに必要な場合が出てくる可能性は否めません。Pro-Signを活用いただくと、クラウドにて契約書の長期保存ができるため、是非ご活用ください。


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