「居抜き」と「スケルトン」の違いとは?メリット・デメリットや重要なポイントを徹底解説
店舗やテナント契約の際に「居抜き物件」と「スケルトン物件」をよく見かけますが、違いについてご存知でしょうか?
この記事では、居抜き物件とスケルトン物件のメリット・デメリットや、それぞれの重要なポイントについて解説していきます。
目次[非表示]
- 1.前提知識
- 1.1.居抜き物件とは?
- 1.2.スケルトン物件とは?
- 2.貸主からみたそれぞれのメリット・デメリット
- 3.借主からみたそれぞれのメリット・デメリット
- 4.まとめ
前提知識
居抜き物件とは?
居抜き物件とは、主に店舗物件で前の借主の内装や造作設備が残ったままの物件のことを指します。
空調設備や厨房設備、照明やテーブルなど、テナントや飲食店として利用していた設備が揃っているため、入居後に事業を開始しやすく、出店の際の初期費用を抑えることができます。貸主が、同じ業種に貸し出したいときに、あえて残している場合もあります。
開業に向けての改装にかかる費用は1坪あたり平均15万円~30万円です。
また、造作譲渡料の相場はおよそ100万~200万円となっています。
スケルトン物件とは?
スケルトン物件とは、前テナントの内装や設備をすべて取り除き、壁や天井がないいわゆるコンクリート打ちっぱなしの建物の骨組みだけになっている状態の物件のことを指します。
一般的にテナント契約では、スケルトン物件で契約・退去することが基本となっています。
開業に向けての改装にかかる費用は1坪あたり平均30万円~50万円です。
それに加えて、備品など必要なものを買いそろえる費用が別にかかります。
貸主からみたそれぞれのメリット・デメリット
居抜き物件やスケルトン物件を貸す側から見た場合のメリットとデメリットをご紹介します。
居抜き物件
メリット
居抜き物件のメリットは、賃貸の始めやすさにあります。
前借主が残した店舗や事務所などの雰囲気を、そのまま引き継いで使いたいという新たな借主が見つかればそのまま貸すことができます。
大きな内装工事が必要ないことから空いていてもすぐに埋まる可能性があり、借主から見ても安いという魅力があるため借主も見つけやすいです。
デメリット
デメリットとして、前借主が用意した内装や雰囲気によっては、新たな借主が限定され、なかなか見つからない可能性があります。
ですので地域の需要に合わせたり、店舗数や引き継ぎたい人が多い職種の借主を誘致したりと工夫が必要です。
スケルトン物件
メリット
スケルトン物件のメリットは、ターゲットの広さにあります。
業種が限定されないため、立地や面積などが希望に合うだけで借主が見つかります。
また、原状回復費用の貸主側負担を減らすことができます。
デメリット
借主は多額のコストを払わなければならないため、予算の面で見送られる可能性があります。
また、スケルトン物件の場合は内装にほとんど違いが無く差別化しづらいため他と比較されやすです。
以上のことから、立地などの内装以外の優位性がなければ、なかなか借主が見つからない点がデメリットとしてあげられます。
借主からみたそれぞれのメリット・デメリット
居抜き物件やスケルトン物件を借りる側から見た場合のメリットとデメリット、さらに予算を抑えて発注するポイントもご紹介します。
居抜き物件
メリット
一番のメリットは設備が整っていることです。
残っている設備や内装を使う場合は、クリーニングや看板作成などの費用のみしかかからないため、初期費用をかなり抑えることができます。
さらに、中身がそろっているため、すぐに開業できます。そのため、スケジュールが立てやすく、カラ家賃も抑えることができます。レイアウトを考える手間もないため、業者と何度も打ち合わせをする必要もありません。デザインやレイアウトを考えるのが苦手だったり、いち早く開業したい方におすすめです。
また、物件数の多さも魅力です。前借主は原状回復費用を抑えられ、次に来る新しい借主は費用を押さえれらるとお互いにメリットがあるため、人気で多くの物件があります。比較対象が多ければ、自分の好みの内装も見つかるかもしれません。
経営にあたっては、前借主のお店のときの顧客を取り込める可能性があります。外装・内装に大きな変化がない店は新しくなっていても比較的入りやすいですよね。内装を大きく変える必要がないということは業種は前借主と近いはずですので、より集客を見込めます。
デメリット
反対にレイアウトやデザインは簡単に変更できません。
新しく作るより、今あるものを作り変える方が高くつく場合もあるため事前に本当にこれでいいのか念入りに確認する必要があります。
古くなっているものは買い替えの必要があるため、隅々まで確認して交換が必要なものはメモしておきましょう。特に、古すぎる設備などは修理が難しいため、修繕費が高くつくうえに壊れやすく、丸々新しいものに替えなければならないこともあります。電化製品などは古いものだと光熱費が高くなってしまうので、買い替えたほうが安くなる場合も多いです。
さらに、前提知識にて触れましたが、造作譲渡契約料が100万円~200万円かかることも念頭に置いておきましょう。設備や立地の良し悪しで、高額になるパターンもあります。
また、前借主のイメージを引き継いでしまうため、もしその評判が悪かった場合はそのイメージがついてしまう可能性があります。
居抜き物件を探す際は、改装費用や契約料金の相場、そして前借主の情報もある程度調べておきましょう。短期間で何度も退去されているのならば、なにか別の問題があるのかもしれません。
最後に、居抜き物件を借りても退去時には原状回復工事でスケルトンにしなければならない契約もあるため、契約の内容はよく確認しましょう。
スケルトン物件
メリット
スケルトン物件の一番のメリットは、やはりレイアウトやデザインの自由度でしょう。
業者との打ち合わせやデザインを考えることは大変ではあるものの、全て自分好みに作り上げることができ、完成した後は愛着が湧くこと間違いなしです。
また、前借主のイメージは引き継がない完全新規であるため、こちらも自分好みであったり顧客に合わせたりと自由なイメージを持たせることができます。
さらに、設備や道具もすべて自分でそろえるため情報の把握がしやすい点も魅力的です。シンプルな感じにするなら、それほど値段もかからないためコストを抑えることができます。
1件目は居抜き物件を選んでいても、2号店、3号店となったときにスケルトン物件を選んでみるのもアリです。
デメリット
工事費や設備費などとにかくお金がかかることがデメリットになります。特に作りこんだり、オリジナリティを出そうとするとより費用がかかります。退去時にスケルトンに戻す必要があるため、こちらにもお金がかかることも忘れないようにしましょう。
そして工事から開業準備までに、一般的に3~6ヶ月ほどかかるため、すぐに開業できず時間がかかってしまいます。準備に時間がかかった場合はカラ家賃も馬鹿にできない額になるため注意が必要です。
また、工事期間中は騒音や振動が発生するだけでなく、人や車の出入りなども活発になるため近隣の方に一言断っておくことも大切です。
新しいお店は前借主のイメージを引き継がない分、知名度がないため宣伝もかねてあいさつしておきましょう。ホームページやSNSを使って宣伝することも、今の時代の選択肢になります。
工事の際に現場に足を運んで、自分のイメージ通りに、または予定通り進んでいるか確認したりどのように宣伝するか考えておくと業者との相違なく効率よく開業することができます。
予算を超えないように発注するポイント
最後に予算を抑えて発注するポイントをお伝えします。
状況によっては予想以上に費用がかさみ予算を超えてしまう可能性もあるため、注意が必要です。
まず、設計を担当する業者に予算上限を伝えておきましょう。そうすると、内装の案を伝えたときに予算が足りるかどうか判断してアドバイスをしてもらえます。
また、業者側もある程度、現実的な内容の提案をしてくれます。反対に多くの提案が欲しい場合には、予算を伝えるのを少し待つのも手です。
計画の段階では、自分の理想とするためにどんどん費用が膨らみ、驚くほど高い金額を提示される可能性があるため、ある程度優先順位を考えておきましょう。
そして材料も大事になります。高価な材料ならばよりよい雰囲気を演出することもできますが、その分費用がかかります。業者によって材料費も異なるため、複数社で見積もりを出してもらいましょう。通常の材料でも、工夫次第で目標とするイメージや雰囲気を醸し出せるかもしれません。
また、業者の所在地が工事場所から遠いと出張費として費用が別にかかるため、それも含めて確認してみてください。
まとめ
居抜き物件、スケルトン物件にはそれぞれメリット・デメリットがあります。
初期費用をなるべく抑えて早く開業したい方は居抜き物件、逆に費用や手間をかけて自分のイメージに合った店舗にしたい方はスケルトン物件をおすすめします。
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