多店舗展開のメリット・デメリット・成功へのポイントを解説
今回の記事では、経営の上で多店舗展開を行うことで得られるメリットと、考えられるデメリットについて解説します。
また、成功させるためのポイントや、業種ごとの押さえておきたい特徴も紹介しますので、是非参考にしてみてください。
目次[非表示]
- 1.多店舗展開とは
- 2.多店舗展開における2種類の形態
- 3.多店舗展開における3つのメリット
- 3.1.①利益の増加が見込める
- 3.2.②ブランディングを強化できる
- 3.3.③リスクを分散できる
- 4.多店舗展開における2つのデメリット
- 5.多店舗展開成功へのポイント3つ
- 6.【種類別】多店舗展開のポイントを紹介
- 6.1.飲食店における多店舗展開のポイント
- 6.2.スーパーマーケットにおける多店舗展開のポイント
- 6.3.コンビニにおける多店舗展開のポイント
- 6.4.美容室における多店舗展開のポイント
- 6.5.塾における多店舗展開のポイント
- 7.まとめ
多店舗展開とは
多店舗展開とは、店舗の成長戦略の一つで、同じ商品・ブランドを扱う複数の店舗を展開することです。店舗が増える分だけ人件費や維持費は必要ですが、単独の店舗で運営を続けるよりも大きな売上を得られる可能性があります。
多店舗展開における2種類の形態
多店舗展開はその形態によって2種類に分けられます。
直営店方式は、企業が直接新規店舗を運営することです。この形態では、設備投資や従業員の雇用などを店舗ではなく本部が行います。
対してフランチャイズ方式は、フランチャイズチェーン加盟店が独立して運営する形態です。加盟店は本部企業に、保証金や加盟金を支払う必要があります。
多店舗展開における3つのメリット
多店舗展開によって得られるメリットにはどのようなものがあるでしょうか。ここでは主なメリットを3つ紹介します。新規出店を検討している場合の判断基準としてお役立てください。
①利益の増加が見込める
店舗が増えることとその分訪れる人が増えるため、売上も増えます。
また、複数店舗で扱う商品を一括で仕入れることで価格交渉がしやすくなり、原価を抑えて商品を仕入れられることも大きなメリットです。
また、近いエリアで複数店舗を運営すると、配送効率も向上します。そのため、適切な多店舗展開は企業全体の利益向上につながります。
②ブランディングを強化できる
元々店舗があったところ以外のさまざまな場所に出店することで、店舗が多くの人の目に留まるため、商品やブランド名を強く印象付けられます。
また、特定のエリアで多くの店舗を経営し、その地域に合わせたブランディングをする手もあります。このような出店の仕方をドミナント戦略といい、顧客の来店頻度が高い業種で効果的です。
③リスクを分散できる
同じブランドを複数の店舗で展開していると、1つの店舗が赤字になっても他の店舗で得た売上で補填できます。売上が振るわない店舗を他の店舗の売上で支えつつ、経営の改善を図る余地ができるのです。
そのため、多店舗展開の導入は企業全体で見たときの経営の安定につながり、経営難を未然に防げます。
多店舗展開における2つのデメリット
上述したように多店舗展開にはさまざまなメリットがありますが、管理すべき店舗が増えることに起因したデメリットもあります。
ここでは、代表的なものを2つ紹介します。多店舗展開導入前に、デメリットについても把握しておきましょう。
①経費が増える
店舗が増えるほど、必要な設備費や人件費は多くなります。
そのため、それらの費用を負担できるだけの売上を新店舗で上げられない場合は赤字となり、本部や旧店舗に負担がかかります。
事前に見込まれる売上や必要な経費を予測し、必要であれば店舗ごとに商品のラインナップや店舗の規模を変化させ、赤字にならないように対応しましょう。
②経営が複雑になる
本部が管理すべき店舗が増えると、シフトの複雑化や人材の管理・教育にかかる手間の増大が起こります。全ての店舗に適切に商品が行きわたるように仕入の管理や、赤字店舗の状況把握も重要です。また、他店舗との商圏の奪い合いも考慮しながら運営しなくてはなりません。
そのため、単体経営のときと比べて本部が負う経営管理への負担は大きくなります。
多店舗展開成功へのポイント3つ
ここまでで、多店舗展開のメリットとデメリットを紹介しました。
では、どのように経営すれば損失を最小限に抑えつつ、上手くメリットを得られるのでしょうか。ここからは、多店舗展開を成功させるために把握しておきたいポイントを3つ紹介します。
①既存店舗の状況からマニュアル化を事前に行う
多店舗経営には品質の標準化が重要です。そのため、既存店舗の成功要因を分析してマニュアル化し、新店舗に適応できるようにしましょう。
店舗オーナーに対して運営管理の上で行うべきことを支持するものと、店舗全体に対して1日の業務の流れや作業時に注意すべきことを記したものの、2種類のマニュアルを用意すると効果的です。
②新規出店先エリアの状況に応じて出店戦略を検討する
既存店舗の経営方法をなぞるだけでなく、新店舗の立地や地域性に沿った戦略を盛り込むことも検討しましょう。
具体的には、以下の通りです。
- 多店舗と商圏をなるべく分け、競合しないようにする
- ターゲット層を調査し、適切な商品やサービスを提供できるようにする
また必要なら、コンサルティング会社を利用してアドバイスを受けると、店舗の状況を把握しやすくなります。
その他、新店舗導入時に確認しておきたい主な要因は、以下の通りです。
- 1店舗目の運営状況:1店舗目が十分な利益を生み出せているタイミングで新店舗を出店する
- 撤退ライン:売上が目標に対してどの程度下回ったら撤退するかを決めておく
③システムの導入で業務効率化を高める
店舗経営の複雑化に対応するため、データ管理システムを導入して経営効率を向上させる手もあります。
システムの例としては、POS(Point Of Sales)レジが挙げられます。これは、商品の代金が決済されたタイミングで商品や顧客の情報が自動で記録・集計されるものです。これによって、手作業でデータを集計する必要がなくなります。
【種類別】多店舗展開のポイントを紹介
ここまでは、ほぼすべての業種において共通する、多店舗展開に関する基本情報を紹介してきました。
ここからは、よく多店舗展開が利用される5つの業種において、それぞれに特有な成功するためのポイントを解説します。
飲食店における多店舗展開のポイント
飲食店における多店舗展開のポイントを以下にまとめます。
- 立地や客層の把握
- 炎上リスク
飲食店は、2店舗目以降の立地やターゲット層の選定ミスによって失敗することが多く見られます。新店舗周辺を利用する人がどのような商品を求めているかを出店前に把握しておきましょう。
また、近年はSNSでの拡散がある影響で、1店舗で不祥事があると同名の多店舗にも影響が出ます。特に飲食店の場合、食中毒や迷惑行為という脅威に晒されています。
衛生管理はもちろん、監視体制や貼り紙など、リスク管理を徹底しましょう。
スーパーマーケットにおける多店舗展開のポイント
スーパーマーケットにおける多店舗展開のポイントを以下にまとめます。
- 繰り返し来店することに特典を付ける
- アプリを導入する
近年はインターネットで買い物をする人が多いため、来店することにメリットを感じてもらう必要があります。
ポイントやクーポンを利用すると、顧客の来店意欲向上につながります。ポイント機能のあるアプリを導入すれば顧客側はポイント管理がしやすく、店側は顧客情報の管理がしやすくなります。
コンビニにおける多店舗展開のポイント
コンビニにおける多店舗展開のポイントを以下にまとめます。
- 店長候補スタッフの育成
- 1号店から離れていない場所に出店する
店舗が増えると新店舗の運営には関われなくなります。早いうちからオーナー以外のスタッフに業務を任せ、店長として必要な自主性を育てておきましょう。
コンビニは、地域内に集中して出店するドミナント戦略が有効な業種の一つです。もしもドミナント戦略を行う際は、新店舗は既存店舗から離れ過ぎない場所に出店しましょう。
また、店舗同士が近いとオーナーが様子を見に行きやすいこともメリットです。
美容室における多店舗展開のポイント
美容室における多店舗展開のポイントを以下にまとめます。
- オーナーが関われない店舗が出てくる
- スタッフの育成が難しい
美容室は基本1対1の接客であり、オーナーのマンパワーが影響しやすい業態です。
オーナー不在でも運営できるよう、マニュアルの徹底・オーナー以外の従業員で運営できる環境づくり・組織体制を構築しておきましょう。
美容室は、スキルだけでなく、接客技術も高度なものを求められます。接客現場に店長やマネージャーなどの指導者を配置することで、直接教育できないスタッフも質を保てるようにする必要があります。
塾における多店舗展開のポイント
塾における多店舗展開のポイントを以下にまとめます。
- 競合との差別化を意識する
- 費用管理のため、設備を適切なタイミングで導入する
塾業界は少子化によって将来的な市場の縮小は不可避であるものの、中小企業庁によると、塾業界への新規参入は近年増え続けています。
そのため、授業の形式や講師・授業の質など、地域にある塾と差別化できるセールスポイントを持ちましょう。塾の経営には生徒用の机や黒板・ホワイトボードなど特殊な備品が多く必要です。すぐに必要な備品とそうではない備品を見極めて購入しましょう。
まとめ
多店舗展開は、適切に運用すれば売上を増やして仕入価格を減らし、利益の最大化に役立ちます。
今回紹介した課題以外にも、多店舗展開の際には「店舗情報をきちんと管理する」ことが非常に重要です。多店舗展開の際は弊社の、店舗情報の一元管理を支援するPro-Signの導入もご検討ください。
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