新リース会計で財務悪化? ── その原因、実は「契約」にあるかもしれません



「会計システムさえ変えれば大丈夫」── 本当にそうでしょうか?

2027年、新リース会計基準が全企業に適用されます。

「経理の話だし、自分たちはそんなに関係ないだろう」
「会計システムを変えれば何とかなるはず」

そう考えている方も多いのではないでしょうか。

しかしこの新基準、従来とは根本的に“見える景色”が変わる制度です。
とくに多店舗展開している企業においては、
“気づかぬうちに財務が悪化する”という深刻なリスクが潜んでいます。

実際、私たちが支援している企業の中にも、
試算してみたら「債務が数百億円増えるかもしれない」
「自己資本比率が下がって銀行との契約に引っかかるかも」

という危機感を抱いた例が少なくありません。

いったい何がそんなリスクを招いているのでしょうか?




目次[非表示]

  1. 1.キーワードは「契約」── 数値を決めるのは処理ではなく“内容”
  2. 2.「まさかうちの契約が原因で財務悪化?」── 多店舗展開企業ほど要注意
    1. 2.1.共益費込みの賃料契約(小売)
    2. 2.2.居抜き設備込みの物件(飲食)
    3. 2.3.短期契約のようで実質長期(サービス業)
  3. 3.「その契約、いつ見直しますか?」
  4. 4.「経理だけで完結する時代」は終わった
  5. 5.今すぐできることから、始めませんか?
  6. 6.詳しく知りたい方へ:無料ホワイトペーパーをご用意しました
  7. 7.おわりに:「会計で見せ方を変える」のではなく、「契約で数字を変える」時代へ


キーワードは「契約」── 数値を決めるのは処理ではなく“内容”


新リース会計基準では、これまでオフバランス処理されていたリース契約の多くが、バランスシート上に計上されるようになります。

つまり、店舗の物件を借りる契約があると、その契約に基づく支払総額が「使用権資産」「リース負債」として帳簿に載る──

このように“契約の内容そのもの”が財務数値を直接左右する時代になったのです。

ここで重要なのは、
会計処理は「結果」にすぎず、「原因」は契約にある
という視点です。

例えば、

  • 契約期間が10年か5年かで、負債額は大きく変わる
  • 賃料が固定か変動かで、オンバランスの範囲が変わる
  • 設備付き物件かどうかで、資産の評価額が変わる

といったように、見直すべきは“システム”ではなく“契約”なのです。



「まさかうちの契約が原因で財務悪化?」── 多店舗展開企業ほど要注意


ここで、「でもウチの契約は一般的なものだし…」と思った方。
それこそが危険信号かもしれません。

多店舗展開企業の契約には、次のような“リスクの芽”が隠れていることが多く見られます。


共益費込みの賃料契約(小売)

ショッピングモールなどでよく見られる「賃料+共益費がセットになった契約」──

会計上は共益費部分を“リース以外”として分けることが可能ですが、契約書に明記がなければ全部がリース対象としてオンバランスされる恐れがあります。


居抜き設備込みの物件(飲食)

フリーレントや前テナントの設備を引き継いでいる物件。

実はその内装や厨房設備が賃料に“上乗せされて”いて、想定以上の資産として計上されることも。


短期契約のようで実質長期(サービス業)

1年契約のように見えて、毎年同じ物件を更新し続けている──

それ、“実質的には長期利用”とみなされて短期リースの免除が効かない可能性があります。


こうした“契約あるある”は、ほんの一例です。
現場では当たり前の慣行も、会計基準の目線では「財務に効く要注意項目」になり得るのです。



「その契約、いつ見直しますか?」


契約の内容によって資産や負債が増減する以上、企業として“契約をコントロールする視点”を持たなければ、2027年を迎えたとき、思いがけず財務が悪化することになります。

具体的には、


  • 契約期間や自動更新条項の整理
  • 賃料構成の見直し
  • 歩合制の導入
  • 設備費用のオーナー負担化

といった見直しが、財務インパクトの緩和につながります。

が、これらは「契約交渉の話」であり、会計処理だけではどうにもなりません。

ここで初めて、「店舗開発」や「法務」と「経理」が手を取り合う必要が出てきます。





「経理だけで完結する時代」は終わった


従来の会計制度では、物件契約の話は店舗開発や不動産担当が主導し、
経理はあくまで「出てきた契約を処理する」役割でした。
しかし新リース会計では、


  • 契約期間
  • 賃料の構成(共益費含むか)
  • 設備の保有主体

こうした契約の“中身”そのものが資産・負債・損益に直結するため、契約締結の前段階から経理が関与すべき領域が広がっているのです。

つまり、

“経理・財務 × 契約管理 × 現場”の三位一体対応が必須

ということです。


今すぐできることから、始めませんか?


契約見直しや巻き込み体制の整備は、時間をかければかけるほど有利になります。
2027年の適用ギリギリになってから慌てても、契約更新のタイミングを逃してしまい、思うような見直しができないケースも出てくるでしょう。

そこでまずは、

  • 自社がどんな契約をどれだけ抱えているか(棚卸し)
  • 新基準での影響額がどのくらいか(影響試算)
  • 見直す優先順位はどこか(要注意契約の洗い出し)

といった現状把握からの一歩が重要です。



詳しく知りたい方へ:無料ホワイトペーパーをご用意しました

タイトルは──

新リース会計対応の本丸は契約設計にあり



この資料では、

  • 多店舗企業にありがちな“契約リスク”の整理
  • 見直しによる改善インパクトのシミュレーション例
  • 契約を見直す「5つのテクニック」
  • 成功企業3社の具体事例
  • 2025〜2027年に向けたアクションロードマップ

などを、実務目線で丁寧にまとめています。


なお、対策の具体的中身は資料内にのみ掲載しています。
​​​​​​​ご興味のある方は、ぜひダウンロードしてご確認ください。



おわりに:「会計で見せ方を変える」のではなく、「契約で数字を変える」時代へ


これまで、会計処理で何とか“見せ方”を工夫していた時代から、これからは「そもそもの契約設計を変えることで、数字そのものを改善する」時代に入っていきます。

新リース会計基準は、“経営の契約力”が試される時代の幕開けでもあります。

自社の財務を守るために。
そして、現場と会計と経営をつなぐ“本当の連携”を実現するために。

まずはこの機会に、契約を見直す第一歩を踏み出してみませんか?




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