新リース会計対応の鍵は「アセットライト戦略」? 多店舗展開企業が生き残るための実践的ヒント


2027年4月、新リース会計基準の適用が開始されます。これにより、小売・飲食・サービス業界では、店舗物件の扱いが大きく変わり、財務指標や投資家対応にも影響が出る可能性があります。

本コラムでは、新基準の影響を最小限に抑えつつ、「アセットライト戦略」の具体策を解説します。



目次[非表示]

  1. 1.2027年4月、「会計が変わる」=「経営が変わる」ということ
  2. 2.財務指標の“見かけ”が変わる─ステークホルダー対応も新時代へ
  3. 3.小売・飲食・サービス業─業界によって異なる“課題と戦略”
    1. 3.1.小売業界では
    2. 3.2.飲食業界では
    3. 3.3.サービス業(ホテル・フィットネス)では
  4. 4.キーワードは「アセットライト」と「説明力」
    1. 4.1.アセットライト戦略の採用
    2. 4.2.ステークホルダー説明力の強化
  5. 5.“最初の壁”は、リース契約の整理
  6. 6.無料ダウンロード資料のご案内


2027年4月、「会計が変わる」=「経営が変わる」ということ

いよいよ2027年4月から、新リース会計基準の強制適用が始まります。

この新基準では、これまで「オフバランス」で処理されていた不動産や設備の賃貸借契約も、原則すべて貸借対照表に計上されるようになります。

これにより、企業の財務諸表は一変します。


  • 店舗物件が“使用権資産”として資産に
  • 賃料総額が“リース負債”として負債に
  • 損益計算書では賃借料が減価償却費・利息費用に再構成


「帳簿上の話でしょ?」と思うかもしれませんが、実態は“経営そのものが変わる”レベルのインパクトをもたらします。


財務指標の“見かけ”が変わる─ステークホルダー対応も新時代へ

財務構造が変化すれば、当然ながら財務指標も変わります。


  • 自己資本比率の低下  
  • D/Eレシオ(負債資本倍率)の悪化  
  • EBITDA・営業利益の“見かけの増加”  
  • 営業CFの大幅改善(でも実態は変わっていない)


こうした変化は、銀行との財務制限条項や、投資家からの定量評価に影響を及ぼす可能性があります。

ある外食チェーンでは、新リース基準の仮適用で自己資本比率が約10ポイント低下したという試算も出ているほどです。にもかかわらず、それが「制度上の見せ方の変化」にすぎないことを正確に伝えられなければ、信用や株価にすら影響しかねません


小売・飲食・サービス業─業界によって異なる“課題と戦略”

小売業界では

  • 店舗の賃借が多く、リース負債が急増しがち
  • 売上連動型の賃料への転換や、契約期間の短縮でリース額を抑える取り組みが進行中
  • とある国内大手小売業では約3,000億を超えるリース資産・負債を初年度に計上し、投資家説明資料で影響額を丁寧に開示する対応をとった

飲食業界では

  • フランチャイズ契約における「どちらが契約主体か」がリース計上額に直結
  • 米国の大手チェーンでは、店舗物件を本部ではなくフランチャイジーが賃借する形に変更し、BS軽量化を実現
  • とある国内大手飲食チェーンは、自己資本比率低下を前提に、投資家に対して「実態は変わっていない」と説明責任を果たした

サービス業(ホテル・フィットネス)では

  • 長期賃貸借に基づく施設運営モデルの見直しが進む
  • 欧州のとあるホテルグループでは、16のホテルを「セール&マネージバック」により売却 → 運営だけを継続 → 約600億円の負債削減に成功
  • フィットネス業界では、固定賃料から収益シェア型へとシフトする動きも



キーワードは「アセットライト」と「説明力」

これらの事例が示しているのは、新リース会計の導入が単なる“制度対応”にとどまらないということ。  いま、多くの企業がこの制度をきっかけに、次のようなアクションを始めています。


アセットライト戦略の採用

  • 不動産や設備の保有・賃借からの脱却  
  • 運営委託契約(マネジメント契約)やFC展開で資産圧縮  
  • セール&リースバックによる資金調達とBSコントロール


ステークホルダー説明力の強化

  • 銀行団への事前説明(財務条項への影響、契約見直し)  
  • 投資家・株主への注記や差異説明  
  • IR資料で「新基準 vs 旧基準」の比較を明示


制度は「会計の話」でも、対応は「経営戦略」である。  
それが、多店舗展開企業に求められている“次の一手”です。


“最初の壁”は、リース契約の整理

そうは言っても、実務の第一歩はすべての契約を棚卸し、分析すること。多店舗展開企業の場合、この作業だけで数百~数千件にのぼることもあり、Excelでの対応には限界があります。


  • どの契約がリースに該当するのか?
  • リース期間に含める延長オプションはあるか?
  • 割引率や利息費用はどう見積もるか?


これらを正しく処理しないと、会計上のリスクだけでなく、監査対応や税務申告にも影響を及ぼします。


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  • 新リース会計基準の制度的ポイントと国際基準との違い  
  • 小売・飲食・サービス業それぞれの成功事例と実践策  
  • アセットライト戦略の実行プロセスと契約見直しのヒント  
  • ステークホルダーへの説明責任を果たす方法  
  • 会計処理・業務プロセス・システム導入の全体像


 制度対応に不安がある方、まずは影響を可視化したい方におすすめの1冊です。 



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