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新リース会計対応をExcelで行うか、システム化するか|判断基準を解説

新リース会計対応を進める際、多くの企業が最初に悩むのが、Excelで対応するか、システムを導入するかという判断です。

「まずはExcelで契約台帳を作ればよいのではないか」「契約件数がそれほど多くなければ、システム化までは不要ではないか」「既存の契約管理表を少し修正すれば対応できるのではないか」。

このように考える企業も少なくありません。

実際、契約件数が少なく、契約変更もほとんどなく、関係部署も限定されている場合は、Excelで対応できるケースもあります。

一方で、多店舗展開企業のように、店舗ごとに賃貸借契約、駐車場契約、倉庫契約、覚書、更新合意書などが多数存在する場合、Excel対応には限界が出やすくなります。

新リース会計では、契約書を一覧化するだけでは不十分です。契約期間、リース期間、支払条件、更新条項、解約条項、リース料、使用権資産、リース負債、仕訳、注記、契約変更履歴までを継続的に管理する必要があります。

本記事では、新リース会計対応をExcelで行うべきか、システム化すべきかを判断するポイントを解説します。

新リース会計対応はExcelでもできるのか

結論から言えば、Excelで対応できるケースもあります。

たとえば、対象となる契約件数が少なく、契約内容がシンプルで、契約変更もほとんどなく、経理担当者が一元的に管理できる場合です。

Excelで契約一覧を作り、契約開始日、契約終了日、月額支払額、リース期間、割引率、現在価値、償還スケジュールなどを管理すれば、一定の範囲では対応できます。

ただし、新リース会計対応は、単なる一覧表作成では終わりません。

ASBJの企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」は、2027年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から適用され、2025年4月1日以後開始する年度から早期適用も可能とされています。また、同基準ではリースを「原資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約又は契約の一部分」と定義しています。

つまり、新リース会計対応では、契約書の有無だけでなく、契約の中にリースが含まれるか、リース期間をどう判断するか、リース料にどの支払を含めるか、契約変更があった場合にどう処理するかまで確認する必要があります。

そのため、Excelで対応する場合でも、単なる契約台帳ではなく、会計処理まで見据えた管理表が必要になります。

Excel対応が向いているケース

Excel対応が向いているのは、比較的シンプルな運用ができる場合です。

たとえば、以下のようなケースです。

判断項目

Excel対応しやすい状態

契約件数

対象契約が少ない

拠点数

店舗・拠点数が少ない

契約内容

契約条件が比較的シンプル

契約変更

賃料改定・期間延長・解約が少ない

関係部署

経理部門内で情報を完結できる

注記対応

集計項目が限定的

監査対応

証跡確認の負担が小さい

担当者

Excel管理に慣れた担当者が継続的に対応できる

このような場合、Excelで初期対応を進めることは現実的です。

特に、まず対象契約を洗い出す段階では、Excelを使って契約一覧を作成することも有効です。対象契約の全体像を把握し、どの程度の契約数があるのか、どの部署に契約書があるのかを確認するには、Excelは扱いやすいツールです。

ただし、Excelで始めた場合でも、将来的に契約件数が増えたり、変更管理や注記対応が複雑になったりする場合は、早めにシステム化を検討する必要があります。

Excel対応が限界になりやすいケース

一方で、以下のような場合は、Excel対応の限界が早く来る可能性があります。

判断項目

システム化を検討すべき状態

店舗数

多店舗・多拠点で契約が分散している

契約件数

賃貸借契約、駐車場契約、倉庫契約などが多数ある

覚書

賃料改定、期間延長、条件変更の覚書が多い

更新管理

契約満了や自動更新の期限管理が必要

支払条件

賃料、共益費、フリーレント、前払賃料などが複雑

関係部署

店舗開発、総務、法務、経理など複数部署が関与する

仕訳

月次仕訳や減価償却、利息計算が必要

注記

満期分析、短期・少額リース集計などが必要

監査対応

判断根拠、変更履歴、確認者の証跡が必要

属人化

特定担当者しか台帳の意味を理解できない

特に多店舗企業では、店舗数が増えるほど、契約書の形式や管理方法がバラバラになりやすくなります。

たとえば、ある店舗では原契約と覚書がPDFで保存され、別の店舗では紙の契約書が倉庫に保管されている。さらに、契約台帳は店舗開発部門と経理部門で別々に管理されている。このような状態では、新リース会計に必要な情報を集めるだけで大きな負担になります。

Excelは柔軟に使える一方で、複数部署・複数担当者で継続的に正確なデータを管理するには、注意点も多いツールです。

Excel管理で起こりやすい問題

● 1. 最新版が分からなくなる

Excel管理でよくある問題が、ファイルの最新版が分からなくなることです。

契約台帳_最新版.xlsx

契約台帳_最新版_修正.xlsx

契約台帳_経理確認後.xlsx

契約台帳_2026年度版.xlsx

このようなファイルが複数存在すると、どれが正しいデータなのか分からなくなります。

新リース会計対応では、契約期間や支払条件の誤りが、使用権資産やリース負債の算定、償還スケジュール、仕訳、注記に影響します。したがって、台帳の最新版管理は非常に重要です。

● 2. 契約変更の履歴が追いにくい

店舗契約では、契約期間中に賃料改定、契約期間の延長、フリーレントの追加、貸主変更、一部解約などが発生することがあります。

Excelで現在の契約条件だけを上書きしていると、過去にどの条件からどの条件へ変わったのかが分からなくなります。

新リース会計では、契約条件の変更が、リース負債や使用権資産の再測定に関係する可能性があります。ASBJの基準でも、リースの契約条件の変更は、リースの範囲や対価の変更、契約期間の延長・短縮などを含むものとして定義されています。

そのため、変更後の最新条件だけでなく、変更前の条件、変更日、変更理由、関連する覚書を管理することが大切です。

Pro-Signでは、覚書等で賃料や期間などの条件変更があった場合、単なる上書きではなく「バージョンを追加」して契約の変遷を追いやすく管理する考え方が用意されています。

● 3. 関数ミスや手入力ミスが起こりやすい

Excelでは、計算式や参照範囲を担当者が自分で管理する必要があります。

リース負債の現在価値計算、利息と元本の按分、減価償却、短期・少額リースの判定、注記集計などをExcelで行う場合、関数の参照ミスや行の追加漏れが起こる可能性があります。

契約数が少ないうちは確認できますが、契約件数が増えると、1件ずつ検算することが難しくなります。

特に、契約変更や解約が発生した場合、既存の計算表をどこまで修正すべきかが分かりにくくなります。

● 4. 原契約・覚書・台帳の関係が分断される

Excel台帳には契約情報が入っていても、原契約書や覚書のファイルが別フォルダに保存されているケースがあります。

この場合、監査対応や社内確認の際に、以下のような情報をすぐに確認できないことがあります。

  • この賃料はどの契約書に書かれているのか
  • このリース期間はどの覚書を根拠にしているのか
  • この変更はいつ誰が確認したのか

新リース会計対応では、会計処理の根拠となる契約書や覚書をすぐに確認できる状態にしておくことが重要です。

Pro-Signでは、物件や契約書に関連ファイルを添付し、契約書や図面、覚書などを紐づけて管理する機能があります。

● 5. 複数部署での確認・承認が難しい

新リース会計対応は、経理部門だけで完結するとは限りません。

契約書を持っているのは店舗開発部門や総務部門、条項を確認するのは法務部門、会計処理を行うのは経理部門、最終的な財務影響を見るのは経営管理部門というように、複数部署が関わります。

Excelファイルをメールやチャットで回す運用では、誰が確認したのか、どこまで確認済みなのか、どの内容が修正されたのかを追いにくくなります。

Pro-Signでは、AIで読み取った契約情報について、原本と読み取り結果を見比べながら修正できるほか、担当者から承認者へ確認依頼を出し、登録前にダブルチェックする流れを作ることができます。

システム化を検討すべき判断基準

Excelで対応するか、システム化するかは、単純に契約件数だけで決まるものではありません。

重要なのは、契約データをどれだけ継続的に、正確に、複数部署で管理する必要があるかです。

Excel対応で進めるか、システム化を検討するかを判断する際は、以下の項目にどれだけ当てはまるかを確認してみてください。

1〜2項目であれば、まずExcelで整理を始める選択肢もあります。一方で、複数項目に当てはまる場合は、Excelで作り込む前に、システム化を前提とした運用設計を検討することをおすすめします。

```

システム化を検討したいチェック項目

  • 対象契約が数十件以上ある
  • 店舗・拠点ごとに契約書が分散している
  • 覚書や賃料改定が多い
  • 契約更新・解約の管理が必要
  • 店舗開発・総務・法務・経理など複数部署が関与する
  • 契約書と台帳が別管理になっている
  • 仕訳や注記資料を継続的に作る必要がある
  • 監査対応で根拠資料の提示が必要
  • 担当者のExcelスキルに依存している
  • 今後も店舗数や契約数が増える見込みがある
```

判断の目安

チェックが多いほど、Excel管理では最新版管理、変更履歴、承認状況、監査対応が複雑になりやすくなります。初期対応だけでなく、適用後の月次・決算運用まで見据えて検討することが重要です。

システム化すると何が変わるのか

システム化の目的は、単にExcelを置き換えることではありません。

新リース会計対応に必要な契約情報を、後続業務に使える形で管理することです。

● 1. 契約書と契約データを紐づけて管理できる

Excelでは、契約台帳と契約書ファイルが分かれがちです。

一方、システム化すると、契約書、覚書、関連ファイル、契約データを紐づけて管理できます。

Pro-Signでは、物件と契約書を分けて管理し、それぞれを紐づけることで、1つの店舗に複数の契約がある場合でも一元管理しやすくなっています。店舗単位で契約書、修繕履歴、交渉履歴、添付ファイルなどを確認できるため、多店舗企業の契約管理と相性がよい構造です。

● 2. AIで契約書情報のデータ化を効率化できる

契約書の内容をExcelに手入力する作業は、件数が増えるほど大きな負担になります。

Pro-Signでは、PDFをアップロードすることで、AIが契約内容、たとえば賃料、期間、相手方などを読み取り、入力作業の時間を削減できます。読み取り結果は、原本PDFと見比べながら修正することもできます。

さらに、既存契約に対して覚書などで内容が変わった場合、AIで読み取ったデータを既存契約に紐づけ、上書き更新またはバージョン追加する流れも用意されています。

● 3. 契約変更や更新期限を管理しやすくなる

Excelでは、更新期限や契約変更の通知を別途カレンダーやメールで管理していることがあります。

システム化すると、契約満了、個別アラート、Todoなどを契約データと紐づけて管理できます。

Pro-Signでは、契約書ごとに特定の期日を基準とした個別アラート通知を設定でき、契約終了日や任意のTodo日付に基づいて通知することができます。これにより、更新漏れや確認漏れを防ぎやすくなります。

● 4. Excel/CSV出力や一括処理に対応しやすくなる

システム化した場合でも、ExcelやCSVが不要になるわけではありません。

むしろ、社内報告や会計システム連携、監査対応のために、必要なデータをExcel/CSVで出力できることは重要です。

Pro-Signには、契約書リストを表計算ソフトで確認・加工するための出力、店舗一覧データの出力、複数店舗情報の一括登録・一括変更などの機能が整理されています。つまり、Excelを完全に捨てるのではなく、マスタデータはシステムで管理し、必要に応じてExcel/CSVで活用するという形が現実的です。

● 5. 仕訳・注記・決算レポートにつなげやすくなる

新リース会計対応では、契約情報を整えるだけでなく、会計処理につなげる必要があります。

Pro-Signの新リース会計エンジンでは、契約マスタ、PV計算、償還スケジュール自動生成を前提に、仕訳パターンビルダー、契約変更・減損・解約などのスポット仕訳、インボイス制度対応、短期・少額リース注記、満期分析レポート、長短振替仕訳、免除リース費用集計レポートなどが機能として整理されています。

特に、満期分析レポートは決算注記「リース負債の満期分析」に使用するレポートとして全契約一括CSV出力を想定しており、短期・少額リースは満期分析の対象外とする設計になっています。

Excelでこれらを個別に作成する場合、計算式や集計範囲の管理が複雑になりやすいため、契約件数が多い企業ほどシステム化の効果が出やすくなります。

Excelかシステム化かを判断する3つの視点

● 視点1:初回対応だけでなく、適用後の運用まで考える

新リース会計対応は、初回の契約棚卸しだけで終わりません。

適用後も、毎月の仕訳、契約更新、賃料改定、解約、決算注記、監査対応が続きます。

初回だけを考えるとExcelでも対応できそうに見えても、継続運用まで考えると、システム化した方が効率的な場合があります。

特に、契約変更が多い企業では、変更前後の条件、再測定、スケジュール変更、仕訳への影響を継続的に管理する必要があります。

● 視点2:契約書管理と会計処理を分けて考えない

新リース会計対応では、契約書を保管するだけでも、会計計算だけでも不十分です。

契約書から読み取った情報を、会計処理に使えるデータへ変換する必要があります。

契約管理と会計処理が分断されていると、次のような問題が起こりやすくなります。

  • 契約管理システムにはPDFがあるが、会計計算に必要な項目が不足している
  • 会計計算用のExcelには数値があるが、契約書の根拠が分からない
  • 覚書の変更が契約台帳には反映されているが、償還スケジュールには反映されていない
  • 経理部門と店舗開発部門で見ているデータが違う

このような状態を避けるには、契約情報と会計処理をつなぐ仕組みが必要です。

● 視点3:監査対応・内部統制まで見据える

新リース会計対応では、会計処理の結果だけでなく、その根拠も重要です。

  • どの契約を対象にしたのか。
  • どの契約を短期・少額リースと判断したのか。
  • どのリース期間を使ったのか。
  • どの契約変更を反映したのか。
  • 誰が確認し、いつ修正したのか。

これらを説明できる状態にしておくことが、監査対応や内部統制上も重要になります。

Excelでは、変更履歴や確認履歴を厳密に残す運用が難しい場合があります。契約件数が多く、複数部署が関与する場合は、権限管理や変更履歴をシステム上で管理できる仕組みが望ましいでしょう。

Pro-Signでは、権限設定、AI-OCRの読み込み権限、担当範囲ごとの閲覧・編集権限などを設定できるため、利用者ごとに扱えるデータ範囲を管理しやすくなっています。

Pro-Signで対応できること

Pro-Signは、単にExcelを置き換えるためのツールではありません。

多店舗企業の店舗・物件・契約情報を一元管理し、その情報を新リース会計対応に使えるデータへつなげるための仕組みです。

主な対応範囲は以下です。

業務領域

Pro-Signでできること

契約書の収集・登録

紙やPDFの契約書をAIで読み取り、契約情報として登録を支援

読み取り結果の確認

PDF原本と読み取り結果を見比べながら修正

確認・承認

担当者と承認者でダブルチェック

物件・契約管理

店舗・物件と契約書を紐づけて管理

契約変更管理

覚書や条件変更を上書きまたはバージョン追加で管理

ファイル管理

原契約、覚書、図面、関連資料を紐づけて保管

アラート

契約満了、個別期日、Todoなどの通知設定

Excel/CSV活用

契約書リスト、店舗一覧、支払仕訳データなどを出力

一括処理

複数データの一括登録・一括変更

新リース会計

PV計算、償還スケジュール、仕訳、注記、決算レポートに活用

イレギュラー対応

契約変更、減損、解約などのスポット仕訳・再計算

決算対応

満期分析、長短振替、短期・少額リース集計などに対応

このように、Pro-Signは「契約書を保管するシステム」でも「会計計算だけを行うシステム」でもなく、契約情報を会計に使えるデータとして整えるための基盤として活用できます。

まとめ

新リース会計対応をExcelで行うか、システム化するかは、企業の契約件数や運用体制によって異なります。

契約件数が少なく、契約変更も少なく、経理部門だけで管理できる場合は、Excelで対応できるケースもあります。

一方で、多店舗展開企業のように、契約書が店舗ごとに分散し、覚書や更新、賃料改定、解約、注記、監査対応が継続的に発生する場合は、Excel管理の限界が早く来る可能性があります。

重要なのは、初回対応だけで判断しないことです。

新リース会計対応では、契約情報を集めるだけでなく、PV計算、償還スケジュール、月次仕訳、契約変更、注記、決算レポート、監査対応までを見据える必要があります。

Excelで始める場合でも、将来的にどこで限界が来るのかを把握しておくことが大切です。

そして、契約件数や関係部署、変更頻度、監査対応の負荷が大きい場合は、早い段階でシステム化を検討することが、結果的に効率的な対応につながります。

Pro-Signの新リース会計対応について

新リース会計対応では、契約書の一覧化だけでなく、会計処理に使える契約データの整備が重要です。Pro-Signでは、店舗・物件・契約情報の一元管理、AIによる契約書データ化、契約変更履歴の管理、アラート、Excel/CSV出力、新リース会計に必要なPV計算・仕訳・注記・決算レポートまでを支援します。

新リース会計基準対応について詳しく見る →

ご利用にあたって

本記事は、新リース会計基準対応における契約情報管理・システム化検討に関する一般的な情報提供を目的としたものです。
最終的なリース判定、会計処理、仕訳、注記、税務処理は、各社の会計方針、契約内容、税理士・公認会計士・監査法人等との協議に基づき行う必要があります。
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