店舗修繕工事とは|店舗工事の種類と利用できる可能性がある補助金について解説
今回の記事では、修繕をはじめとした店舗工事について解説いたします。
「修繕」と混同しやすい他の店舗工事との違いや、店舗工事の際に利用できる補助金・助成金制度についても紹介いたしますので、ぜひ参考にしてください。
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店舗工事は3種に分かれる
店舗工事には、修繕・改装・改修の3種類があります。
これらの言葉の使い分けが分からず、混同して使っている方もいるかもしれません。一般的には「修繕」よりも「改装」、「改装」よりも「改修」のほうが大がかりな工事を指します。
修繕工事
修繕工事とは物や設備の経年劣化に対して、状態を回復させるために行う工事を指します。建物の機能や外観を新築時と同様の水準まで回復させることが目的で、見栄えをよくするための模様替えや設備の改良は伴いません。
一時的にとりあえず使えるようにするための応急処置ではなく、劣化による不具合を根本から解決することを目指します。修繕工事は店舗の売上に関係なく、運営に困難をもたらす不具合が発生したタイミングで行われます。
改装工事
改装工事とは店の構造や間取り、床面積などは変更せず店舗の見た目を変更する工事です。
分かりやすく表現するなら、「模様替え」と言い換えられます。壊れた場所を直して以前の状態に戻す「修繕工事」とは異なり、設備の修理は伴いません。
建物や設備の劣化をきっかけに行うほか、売上が減少し、店舗のイメージを一新して起死回生したいときにも行われます。リニューアルしたことを視覚的に分かりやすくし、今までとは違う層の顧客を呼び込みたいときに効果的です。
改修工事
改修工事とは、店舗の修繕と改良を同時に行う工事を指します。
新築時の機能を回復するだけではなく、設備の機能・規模をグレードアップし、最新の状態にする工事が内容に含まれます。改修工事としてよく行われる工事の例を挙げると、店舗のバリアフリー化、耐震改修工事や断熱改修工事などです。
改修工事の規模や内容によっては、建築基準法に基づいた建築確認申請が必要になる場合もあり、多くの場合で修繕・改装よりも工事が大掛かりになります。
店舗で修繕が必要な箇所
店舗を運営する上で、どのような場所に修繕が必要なのか、どのようなタイミングで修繕を行うのがよいのか分からない方も多いでしょう。
ここでは、お客様に見られやすく定期的な修繕を行う必要がある場所や、行う基準の例を紹介いたします。
壁・天井・床
壁や天井、床は経年劣化しやすいうえ、訪れる人の目に触れやすい場所です。特に汚れやすい壁は、定期的に壁紙の張り替えや再塗装が必要です。
小さな穴程度ならDIYでもある程度対処可能ですが、大きな穴やひび割れがある場合やクロスの張り替えを行いたい場合は、プロに修繕を頼む必要があります。
また、床は従業員やお客様が歩き回るため劣化が避けられない個所です。軋みや沈みが生じていないか、普段の清掃時からチェックするようにしましょう。
空調
空調の不調は、従業員やお客様が環境の悪さを感じる原因になります。そのため、こまめなメンテナンスや掃除、設備の交換が必須です。
空調設備はこまめにメンテナンスすれば15年近く持つといわれているものの、手入れを怠ると耐用年数は大幅に短くなります。
不具合発生時に修理や交換を行うことはもちろん、定期的にクリーニングを行うことで長く使えます。複雑な構造の業務用エアコンであれば、専門業者にクリーニングを依頼しましょう。
電気設備
一口に電気設備の修繕といっても、電球や蛍光灯の交換など単純なものから、漏電の対処まで幅広い工事が含まれます。
電気設備の不調は、特に夜営業する店舗の場合、大きな影響をもたらします。電球周りの破損や発熱は従業員やお客様の怪我や火事の原因になるため、常日頃から状態を確認しておきましょう。
なお電気工事および電話工事には専門の資格が必要なため、不具合発生時は自分で直そうとせず、専門の業者に依頼しましょう。
ガス設備
ガスホースや点火装置、ガスの元栓に加え調理器具など、ガス設備には沢山の確認箇所があります。特に飲食店の場合、調理の影響でガス管やガス器具が劣化しやすいため、定期的なチェックを行いましょう。
ガス栓やガス管の交換など、ガスに関する工事は専門の資格が必要です。電気設備の工事同様、ガス設備の不具合は自分で直そうとせず必ず専門家に依頼しましょう。
またガスにはプロパンガスと都市ガスの2種類がありますが、ガスの種類を変える際は非常に大掛かりな工事が必要です。
換気設備
火を扱う飲食店では、換気設備に不調をきたすと従業員やお客様に、煙による被害や一酸化炭素中毒など重大な健康被害をもたらす恐れがあります。またそこまでいかなくとも、換気ダクトの汚れや劣化は異臭や異音の原因になります。
消音ボックスの設置やダクトの清掃などで解決できる場合もありますが、劣化が酷ければ交換が必要です。換気設備の動作に問題はないかは、定期的にチェックしましょう。
壁・天井・床以外の店舗内装
家具やトイレなどの水回り、飲食店であれば冷蔵庫や製氷機などの厨房機器も定期的なチェック・修繕が必要です。
家具を店舗のイメージに合わせて選んでいる場合、一部だけ交換すると統一性が無くなり印象が悪いため、まとめて交換する必要があります。
とはいえ全ての家具を一度に入れ替えると手間も費用も掛かるため、家具修繕の業者に依頼してもよいでしょう。また短期間で家具を入れ替えたい場合は、購入ではなくリースを利用すると経済的です。
店舗外装
店舗外層とは、外構やエクステリアなど、建物の外回りの装飾のことです。外壁やブロック、階段なども含まれます。
設備や内装と比べて放置されやすいものの、お客様が入店するかどうかの基準として最初に目にする場所なので、汚れや塗装の剥がれは放置すべきではありません。経年劣化のほか雪や大雨、台風などで破損することもあるため、荒天の次の日には気を配る必要があります。
また、フェンスや門扉などの店舗外層は店舗の彩りとしての意味だけではなく、防犯の役割もあるため定期的に状態のチェックをしましょう。
その他
ここまで紹介したもの以外に、扉や看板、駐車場なども修繕が必要です。
扉や看板は店舗の顔といえる個所であるため、外装と同様に見た目で分かるほどの劣化は直しておいた方がよいといえます。また、看板の劣化は破損や落下につながり、従業員やお客様のみならず、歩行者にも危害を与える原因になる恐れがあります。
駐車場の劣化は、特に郊外にある店舗にとっては大きなダメージになるため軽視せず、定期的に確認しておきましょう。
店舗工事の際に利用できる可能性がある補助金・助成金
補助金および助成金とは、国や自治体が事業者の活動を支援する目的で行っている、返済不要の給付金制度です。
補助金には審査があり、審査に通過しなければ給付されない点に注意する必要があります。助成金は補助金ほど複雑な基準や審査は無く、厚生労働省が定めた要件を満たしていれば給付されます。ただし、社会保険や雇用保険に加入していないと申請できません。
補助金・助成金は用語としてそこまで厳密に使い分けられているわけではないため、各補助金・助成金ごとに給付条件を確認しましょう。
店舗工事の際に利用できる補助金・助成金制度には、以下のようなものが例として挙げられます。
補助金・助成金の名称 |
概要 |
業務改善助成金 |
生産性向上に資する設備投資などを行うとともに、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成する。 |
小規模事業者持続化補助金 |
小規模事業者が直面する制度変更などに対応するため、経営計画を作成し、それらに基づいて行う販路開拓の取組みなどの経費の一部を補助する。 |
事業再構築補助金 |
ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業などの挑戦を支援する。 |
受動喫煙防止対策助成金 |
中小企業事業主による受動喫煙防止のための施設設備の整備に対し助成することにより、事業場における受動喫煙防止対策を推進する。 |
(各補助金・助成金の公式ページより一部抜粋)
とはいえ、これら4つの補助金・助成金は特定の目的で改修工事を行う際に給付されるため、単なる修繕工事での利用は難しいでしょう。
店舗工事を開始する前に、自分の店舗における状況や工事の内容が補助金・助成金給付の対象になるのかをよく確認しておきましょう。
まとめ
修繕・改装・改修というような店舗工事は店舗の状態を保ち、お客様に快適に利用してもらうために必須です。
特に、古くなった設備は放置すると健康被害をもたらすこともあり、設備の修理や交換が必要です。 また、工事が必要な個所が無いかは定期的にチェックし、必要に応じて専門の業者に依頼しましょう。