サービス業に必要な届出や更新管理を効率化する方法を詳しく解説
ホテルやレストラン、タクシー、老人ホームなど、サービス業といってもさまざまな業種があります。サービス業を始める場合は、業態に応じて許可、届出、資格の取得が必要です。
届出によっては有効期間があるため、各届出の期日管理をきちんと行い、期限までに更新手続きを済ませましょう。
本記事では、サービス業の開業に必要な届出の一覧や、更新が必要な届出をまとめて管理するコツを紹介します。
※飲食店、小売業に必要な内容は下記を併せてチェックしてみてください。
目次[非表示]
- 1.サービス業の開業に必要な届出一覧
- 2.サービス業に関する届出申請の流れや更新手続
- 2.1.飲食店営業許可申請
- 2.2.旅館業営業許可
- 2.3.運送業許可
- 2.4.風俗営業許可
- 2.5.深夜酒類提供飲食店営業届
- 2.6.有料老人ホーム設置届
- 2.7.防火管理者選任届
- 3.サービス業の届出や更新手続きを効率的に行う方法
- 3.1.エクセルを使って管理する
- 3.2.スプレッドシートを使って管理する
- 3.3.管理システムを導入する
- 4.サービス業の届出を一元管理するならITシステムの導入を!
サービス業の開業に必要な届出一覧
サービス業の開業に当たって、必要な届出の一覧表は以下のとおりです。
業態 |
項目 |
提出先 |
提出期限 |
有効期間 |
|
レストラン |
許可 |
飲食店営業許可申請 |
保健所 |
店舗が完成する10日前まで |
自治体によって異なる(5~8年) |
資格 |
食品衛生責任者 |
保健所 |
営業許可申請に必要 |
有効期間は無いが、定期的に実務講習を受ける努力義務がある |
|
ホテル |
許可 |
旅館業営業許可 |
保健所 |
営業を開始する10日前まで(※事前相談が必要) |
なし |
タクシー、トラック運送業 |
許可 |
運送業許可 |
運輸局 |
営業を開始する3カ月~半年前まで(※試験あり) |
なし |
パチンコ店や接待を伴う飲食店 |
許可 |
風俗営業許可 |
公安委員会 |
営業を開始する55日前まで |
なし |
深夜営業のバーや居酒屋等 |
届出 |
深夜酒類提供飲食店営業届 |
警察署 |
営業を開始する10日前まで |
なし |
老人ホーム |
届出 |
有料老人ホーム設置届 |
都道府県知事 |
施設の建築確認後すぐ(※事前相談が必要) |
なし |
全店舗 |
届出 |
防火管理者選任届 |
消防署 |
営業を開始するまで |
なし |
資格 |
防火管理者 |
消防署 |
店舗の収容人数が30人以上に必要 |
有効期間は無いが、定期的(5年程度)に講習受講の必要あり |
|
資格 |
防災管理者 |
消防署 |
11階(地階を除く)以上、10,000㎡より大きな建物に入る店舗等の場合に選任 |
有効期間は無いが、定期的(5年程度)に講習受講の必要あり |
業態によって、必要な届出とそうでない届出があります。
たとえば、食堂やレストラン、喫茶店などの飲食サービス業を営む場合は、飲食店営業許可申請が必要です。しかし、深夜営業(午前0時以降)を行う場合は、通常の営業許可に加えて、深夜酒類提供飲食店営業届の提出も必要になります。
届出によって、有効期間が定められている点に注意しましょう。
とくに食品関係の届出は、食品衛生法の規定により5年以上の有効期間が設けられているため、定期的に更新手続きが必要です。
各届出の提出先・提出期限・有効期間の3点を確認し、忘れずに手続きを行いましょう。
サービス業に関する届出申請の流れや更新手続
ここでは、基本的に東京都を例に挙げながら、サービス業に必要な7つの届出の必要書類や、手続きの流れを詳しく解説していきます。
- 飲食店営業許可申請
- 旅館業営業許可
- 運送業許可
- 風俗営業許可
- 深夜酒類提供飲食店営業届
- 有料老人ホーム設置届
- 防火管理者選任届
主に対象となるのは、飲食サービス業(飲食店営業許可申請、深夜酒類提供飲食店営業届)、接待を伴う飲食サービス業(風俗営業許可)、タクシー・ハイヤー事業などの運送サービス業(運送業許可)、介護サービス事業(有料老人ホーム設置届)などの業態です。
また、店舗の収容人数が30名以上の場合、業態に関わらず、防火管理者選任届の提出も必要になります。サービス業の届出の流れや更新手続きについて、正しく理解することが大切です。
飲食店営業許可申請
飲食店を開業する場合は、所轄の保健所に飲食店営業許可申請を行う必要があります。[注1]
申請を行う際の手数料は東京都の場合は18,300円です。[注2]
営業許可の取得に当たって、保健所の職員による立入検査が行われるため、遅くとも店舗が完成する10日前までに申請手続きを済ませておきましょう。
飲食店営業許可は、食品衛生法の規定により、自治体ごとに5~8年の有効期間が設けられています。[注3]
そのため、各店舗の営業許可の更新時期を把握し、期日までに手続きを済ませる必要があります。
[注1]東京都「新たな「営業の許可制度」「営業の届出制度」が令和3年6月1日から始まります」P1
[注2]東京都福祉保健局「東京都食品衛生関係許可手数料」
[注3]厚生労働省「営業許可の有効期間について」P.4
旅館業営業許可
旅館業営業許可は、旅館やホテルなどの宿泊事業を営む場合に提出する届出です。[注4]
必要な営業許可の種類は、営業形態や宿泊設備によって異なります。
旅館業の種別と申請手数料は以下のとおりです。[注5]
- 旅館・ホテル営業(30,600円)
- 簡易宿所営業(16,500円)
- 下宿営業(16,500円)
一般的な旅館やホテルを運営する場合、旅館・ホテル営業の許可を取得しましょう。ただし、民泊サービスの場合は「住宅宿泊事業者の届出」が必要です。
旅館業営業許可が降りるまで一定期間かかるため、申請に必要な書類が揃い次第早めに申請手続きを完了させましょう。
[注4]厚生労働省「旅館業法概要」
[注5]東京都福祉保健局「旅館業のてびき(旅館・ホテル営業、簡易宿所営業)」P.6
運送業許可
運送業許可は、道路運送法における運送業を営む場合に提出しなければならない届出です[注6]営業所のある都県の運輸支局に提出します。
申請書の提出後は、法令試験を受ける必要があります。[注7]
一度の申請で受けられる試験は2回までです。合格後は書類審査ののちに許可が下されます。
許可が降りるまでの期間は、平均して3〜5カ月程度とされているため、早めに運送業許可の手続きを行いましょう。
[注6]国土交通省「一般貨物自動車運送事業とは」
[注7]国土交通省「一般貨物自動車運送事業の申請から許可までの流れ」
風俗営業許可
風俗営業許可は、風営法の規定に基づいて、飲食サービス業のなかで「接待」を伴う店舗が提出しなければならない届出です。[注8]
接待とは、以下のような行為を指します。
談笑・お酌等 |
特定の客の近くについて、談笑の相手になったり、酒等の飲食物を提供したりする行為 |
ショー等 |
特定の客に対して、ショーや歌舞音曲などを見せたり、聴かせたりする行為 |
歌唱等 |
特定の客に対し、歌うことを勧奨したり、歌っているときに手拍子や拍手をして、褒めはやす行為 |
ダンス |
特定の客の相手となって、身体に接触しながら、ダンスをさせる行為、または客の身体に接触しなくても、一緒に踊る行為 |
遊戯等 |
特定の客とともに、遊戯やゲーム、競技を一緒に行う行為 |
その他 |
客と身体を密着させたり、手を握るなど、客の身体に接触する行為 |
また、飲食店ではありませんが、パチンコ店やマージャン店など、顧客の射幸心をそそる恐れのある店舗も風俗営業許可(第4号営業)が必要です。
風俗営業許可の審査にかかる期間は55日間以内のため、遅くとも営業開始の2カ月前には申請手続きが必要になります。
飲食店営業許可と違って、風俗営業許可に有効期間はありません。
深夜酒類提供飲食店営業届
バーや居酒屋など、酒類を提供する飲食店のうち、深夜営業(午前0時以降)の店舗は、深夜酒類提供飲食店営業届の提出が必要です。[注9]
深夜酒類提供飲食店営業届に対する手数料などはかかりません。
届出に当たって、営業開始届出書のほか、施設の図面やメニューの写し、本人確認書類、法人登記簿謄本、飲食店営業許可証の写しなどの書類が必要になります。
深夜酒類提供飲食店営業届は、店舗がオープンする10日前までに提出しなければなりません。深夜酒類提供飲食店営業届を行わずに店舗を営業した場合、50万円以下の罰金が科される可能性があります。[注10]
[注9]高知県警察「深夜における酒類提供飲食店営業届出の手引き」P.1
[注10]国税庁「【酒類製造・販売業免許関係(共通)】」
有料老人ホーム設置届
有料老人ホーム設置届は、新たに有料老人ホームを設置する場合に必要な届出です。[注11]
申請を行う前に、まず市区町村の担当者と事前相談を行い、事業計画書などを提供する必要があります。
有料老人ホーム設置届に有効期間はありません。ただし、事業内容に変更があった場合や、事業を休止・廃止する場合は、その都度届出を行う必要があります。
[注11]東京福祉保健局「有料老人ホームの届出について(届出の前に事前相談が必要です。※要予約)」
防火管理者選任届
収容人数が30名以上の店舗を運営する場合は、防火管理者を選任する必要があります。[注12]
防火管理者が決定したら「防火防災管理者選任(解任)届出書」と、防火管理資格の証明書類を所轄の消防署へ提出します。[注13]
防火管理者選任届に有効期間はありませんが、防火管理者を解任した場合(退職などの理由も含む)は、解任届の提出が必要です。
[注12]東京消防庁「防火管理者が必要な防火対象物と資格」
[注13]東京消防庁「防火・防災管理者選任(解任)届出について」
サービス業の届出や更新手続きを効率的に行う方法
サービス業の届出や更新手続きは、時間がかかる業務のひとつです。とくに複数の店舗を展開している場合は、店舗ごとに許可、届出、資格を申請し、有効期間が近づいていないか期日管理をする必要があります。
サービス業の業務効率化を実現するには、各届出をまとめて管理するための仕組みづくりが必要です。ここでは、サービス業の届出や更新手続きを効率化する方法を3つ紹介します。
- エクセルを使って管理する
- スプレッドシートを使って管理する
- 管理システムを導入する
エクセルを使って管理する
エクセルなどの表計算ソフトで届出の一覧表を作成すれば、手続きが完了した届出や、更新時期が近づいた届出を見える化できます。
Microsoft Officeを導入済みの場合、コストをかけずに届出を管理できます。また、普段の業務にエクセルを使用している場合、スムーズに運用できるのもメリットです。
一方、エクセルには情報共有がしづらいという欠点があります。他の社員と情報を共有する場合、その都度エクセルファイルのやりとりが必要です。また、エクセルにはファイルにパスワードをかけるなど、最低限のセキュリティ機能しか用意されていません。
スプレッドシートを使って管理する
エクセルではなく、Webベースの表計算ソフトを使用するケースも増えています。
Googleスプレッドシートなど、無料で使えるサービスを利用すれば、コストをかけずに各届出を管理できます。また、エクセルより情報共有が簡単な点もスプレッドシートの強みです。スプレッドシートのURLが分かれば、いつでもどこでもファイルにアクセスできます。
一方、スプレッドシートのURLが外部に漏れると、情報セキュリティ事故につながる恐れがあります。社外秘の情報を管理する場合は、URLのアクセス権限を設定しましょう。
また、業務ツールとしてスプレッドシートを活用する場合、カスタマイズする手間がかかるのもデメリットです。
管理システムを導入する
もっと効率的に届出の管理をしたい場合は、店舗管理システムの導入が必要です。
店舗管理システムなら、各届出に必要な書類のほか、契約書や申請書などの文書を店舗ごとに紐づけて一元管理できます。また、店舗間でリアルタイムに情報共有できるため、コミュニケーションがスムーズです。
一方、店舗管理システムの導入に当たって、初期費用や月額料金が発生します。メリットとデメリットを比較し、費用対効果の得られるサービスを選びましょう。
サービス業の届出を一元管理するならITシステムの導入を!
サービス業に関する届出は、飲食店営業許可、旅館業営業許可、運送業許可、風俗営業許可など、さまざまな種類があります。業態や施設の収容人数に応じて、必要な届出を申請期限までに提出しましょう。
また、食品関係の届出など、法律で有効期間が定められた届出もあります。各店舗の届出を一元管理し、期日管理や更新手続きをまとめて行う仕組みが必要です。
サービス業における許可、届出、資格の一元管理なら、店舗情報管理のクラウドソリューションシステム「Pro-Sign」がおすすめです。Pro-Signを導入すれば、さまざまな届出を各店舗に紐づけて管理し、業務効率化を実現できます。
更新時期をお知らせするアラート機能もあるため、更新漏れを未然に防ぐことが可能です。
下記より資料をDLし、是非効率的な管理実現の御検討をお進め下さい。