飲食店経営者必見!防災管理者が知っておくべき災害対策とは?

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災害の多い日本において飲食店を経営する上では防災に対する意識が重要になります。特に飲食店において防災の中心的な役割を果たすのは「防火管理者」および「防災管理者」です。なお、この「防火管理者」と「防災管理者」という二つの資格の違いは飲食店の規模によるものです。

「防火管理者」が従業員を含む店舗の収容人数が30人以上の場合に選任されるのに対し、「防災管理者」は11階(地階を除く)以上、10,000㎡より大きな建物などで経営される飲食店などにおいて選任されます。[注1]

このように建物全体が30人以上の規模の飲食店を経営するときには、いずれか、あるいは両方の管理者を立てる必要があります。一方で30人未満の規模の飲食店では、こうした管理者を立てる必要はありませんが、防災に対する知識を身に着けておくことの重要性は変わりません。
 
そこで今回は、飲食店経営者が知っておくべき「防災管理者」の基本情報や仕事内容をお知らせし、自社の情報を災害から未然に防ぐ対策をまとめていきます。



[注1]大阪市:管理者が必要となる建物とは?
     消防法施行令「別表第一」参照


目次[非表示]

  1. 1.防災管理者の責務と災害対策の基本
  2. 2.災害別の具体的な対策
    1. 2.1.地震が起きたとき
    2. 2.2.台風・洪水
    3. 2.3.火災が発生したとき
  3. 3.災害が起こる前に情報を「クラウド」へ保存しよう
  4. 4.まとめ


防災管理者の責務と災害対策の基本

私たちが住む日本は他の国と比べても地震や台風などの自然災害が非常に多い国です。こうした事情から飲食店においても防災に対する計画や訓練が大切であり、防災管理者が担う責務は重大であるといえます。

なお防災管理者は火災以外の災害の被害を軽減するために防災管理上必要な業務を担う責任者として立てられますが、「防火管理者」と同じ人である必要があります。


「防災管理者」は具体的には以下のような責務が定められています。

  •  「防災管理に関する消防計画」を作成し届出を行う
  • 防災管理に関連する避難訓練は年に1回以上実施する
  • その他の防災管理上必要な業務を遂行する

なお、「防災管理に関する消防計画」は防災管理対象物・テナントにおいて災害発災時に被害を最小限にする目的で、その建築物の実態にあった計画を定め職場内の全員にこれを周知し守らせることを目的に作成されるものです。

具体的には災害が発生した場合の避難経路の設定や、災害発生時の初期消火・情報収集・避難誘導・救出救護などの活動を行う自衛消防組織についての情報、防災管理上の教育に関すること等の計画が挙げられます。


また、「防災管理者」の業務の中には年に1回以上、上記の計画に基づいた避難訓練を実施することも含まれています。これらを滞りなく行うためには、災害リスクの把握、非常用備品の準備、避難経路・場所の確保などについて、しっかりと進めていくことが大切になります。

「防災管理者」を選任せねばならない飲食店は規模の観点から、自ずと「防火管理者」を選任しなければならない飲食店と重なります。この場合、「防災管理者」と「防火管理者」は同一人物にしなければならないとされています。

なお、「防火管理者」や「防災管理者」を置く必要があるのは、一定規模以上の飲食店を経営している場合のみに限られます。しかし、それ以外の飲食店には防災の意識が不要という訳ではなく、むしろこうした管理者がいない以上、経営者自身が防災への意識を高めておく必要があると言えます。
 
そこで、次に災害別に災害発生時に飲食店が取るべき具体的対策についてお知らせします。


災害別の具体的な対策

先程もお伝えしたように、一定以上の規模の飲食店を経営する上では「防火管理者」や「防災管理者」と共に災害への予防や発生時の対応をすることになります。ただし、これらの管理者をおく必要のない規模の飲食店においても、経営者自身や、担当者が防災に当たる必要があります。

そこでここからは日本で発生頻度の高い主な自然災害別(地震・台風・洪水・火災)の飲食店が取るべき対策についてお知らせします。


地震が起きたとき

日本の災害といえば、まず思い浮かぶのは地震です。それだけ頻発する災害であるため、飲食店にとっては必ず地震の発生はあるものとして望む必要があると言えます。

地震を感じた際に最も大切なのは、お客様や従業員に冷静な行動を促すことです。例えば、飲食店内にいる方が焦って外に出てしまうと、看板やガラス、切れた電線などの大きな物が落下する危険性が考えられるため危険です。

そのため、地震が発生した場合にはすぐに店舗内にいる人々に声をかけ、「防災管理者」がいる店舗の場合には「防災管理に関する消防計画」や日頃の避難訓練にしたがった行動をとることが重要になります。

一方で、規模が小さく、こうした管理者がいない店舗においても、できるかぎり地震発生時にどのような行動を取るべきか、避難経路はどのルートで、どのように誘導するのか、などの基本的な対策を決めておき、それに沿って行動することが望ましいと言えます。


また、飲食店にとっては火気の取り扱いも重要です。

例えば、阪神淡路大震災では地震直後の出火件数が293件[注2]にも及ぶなど、圧死だけではなく火災による被害も甚大であったことが知られています。そのため地震が起きたらすぐに飲食店内の火を消し、ガスの元栓を閉めるようにしましょう。


なお、地震発生時に最も火災リスクが高いのは意外にも電気です。

東日本大震災では、発生した火災における過半数が電気関係の出火であると分かっています[注3]。地震が発生したらまずはブレーカーを切りましょう。ただし、地震発生時にはブレーカーを切る余裕がないことも想定されます。したがって、地震発生の際に揺れを感知し、ブレーカーやコンセントの電気を自動的に止める感震ブレーカーの設置なども検討してみましょう。

地震による停電も考えられるため、電気のブレーカーは避難前に切っておくと、電気が復旧した際の火災リスクを避けることができます。
 
また飲食店内の座席やテーブルに置いてあるクッションは地震時に頭部の保護に使えます。こうしたものも利用しながら、落下する物や窓からできるだけ遠ざかり、安全な場所へと移動すべきでしょう。



[注2]消防庁「阪神・淡路大震災について(確定報)」2006年5月19日

[注3]日本火災学会誌(2015)『2011年東日本大震災 火災等調査報告書』


台風・洪水

台風や大雨による洪水は、地震と異なりある程度予測できる災害です。

したがって台風が近づいているか、大雨が予想される場合は、お店を守るために事前の対策をすることができます。例えば台風による強風の影響で、飲食店のゴミ容器が飛ばされてしまう可能性があります。もしゴミ容器が何も入っていないのであれば、一箇所にまとめておき、ロープなどで固定しましょう。

また、置き看板は室内に保管し、風で吹き飛ばされないようにしましょう。とくに壁から突き出た袖看板は強風の影響を受けやすいため、店名が書かれたカバーを外す必要があります。これにより、強風によって飛ばされて通行人にケガをさせるリスクを減らすことができます。


火災が発生したとき

火災の際、少しでも避難が遅れると命に関わります。

飲食店内にいるお客様や従業員を迅速に誘導できるよう、避難経路を確保する必要があります。また火災時は、エレベーターが使えなくなる可能性もあります。このとき階段の避難口が荷物で塞がっていると、逃げ遅れる原因になるため非常に危険です。

なお、東日本大震災の後に消防法の改正があり、それまでは延べ面積150平方メートル以上の規模の飲食店のみに義務があった消火器の設置が、すべての飲食店に義務づけられるようになりました。ただし、消火器を設置していても、使い方が分からなければ意味がありません。緊急の際にすぐに取り出し適切に使用できるように、消火器の設置場所の把握と、使い方の手順を確認する訓練を行うことも大切です。

「防火管理者」を選任する必要のある規模(収容人数が30人以上)の飲食店であれば、「防災管理者」と同じように火災を対象とした「防火管理に関する消防計画」を立てます。しかし、収容人数が30人未満の飲食店においては経営者や担当者が対策や予防に当たる必要があります。

この記事も参考に日頃から火災に対する予防を行い、いざという時に対応をできるようにしておきましょう。

ここまでにお伝えしてきたように、災害発生時には何より人命を優先しなければなりません。そのことを踏まえた上で災害発生に備えて実施しておきたいことは、パソコンなどの機器に保存されている「経営情報」についての防災管理です。

次に、この点について詳しくお伝えしていきます。


災害が起こる前に情報を「クラウド」へ保存しよう

これまでお伝えした通り、自然災害を完全に防ぐことは難しいため事前の準備や訓練が防災の要となります。

もし災害に見舞われた場合、人命にかかわらない機器や情報は、後回しにせざるを得ません。そのため、自然災害に見舞われた飲食店では大切な経営情報が失われてしまう例が非常に多く見られます。

飲食店を営んでいく中で得た経営情報は一朝一夕に手に入れられるものではありません。したがって、これらの情報を一度失ってしまえば、再び同じ量と質の情報を得るためには多くの時間を要することが予想されます。自然災害が起きる前に、災害予防の一環として経営情報を守ることも、飲食店経営をする者の責務であると言えます。

例えば、地震・洪水・火災などで飲食店がダメージを受けた場合、パソコンなどの電子機器も破損し使用できない状態になることが想定されます。そのため内部に保存していたデータはすべて再現できなくなり、復旧不能となってしまいます。

この対策として有効なのが「クラウドへの保存」です。パソコンの中ではなくインターネット上に経営情報を保存しておくことで、仮に店舗にある電子機器が壊れてしまったとしても別媒体からネットにログインし、経営情報にアクセスすることができます。

そこでご紹介したいのが、弊社が提供している店舗情報管理に特化した情報管理システム「Pro-Sign」です。「Pro-Sign」では、クラウド上で飲食店の経営情報を一元管理できるため、災害発生時に大切な経営情報を失うリスクを軽減することができます。

また、防災管理者が作成した消防計画の届出書はもちろんのこと、店舗や駐車場などの契約情報をはじめ、各店舗に紐づく情報やデータを一元管理することができるため、導入するだけで業務の効率化も強力に推し進めることが可能になります。

このように飲食店の防災対策では、まずは人命を守るための計画や情報管理を実施し、その上でクラウドサービスの導入などにより、災害にも強い情報管理を実施していくことが大切です。


まとめ

今回は飲食店の経営者の方に向けて、防災管理者の役割と、飲食店における防災・情報管理の対策についてお伝えしました。自然災害に対しては、飲食店にいる従業員やお客様の命を守るため、事前に準備や訓練を行っておくことが大切です。

一度、災害が起きてしまえば、常に人命を優先して行動することになります。したがって、災害発生後に大切な経営情報を守る時間はほとんどありません。万が一、災害が起きた場合に備えて日頃からクラウド上で経営情報の管理をする等、災害に強い情報管理を行っておくことが重要になります。 

私たちが提供している飲食店の情報を一元管理できるクラウドシステム「Pro-Sign」では、災害に備えて飲食店の経営情報をしっかりと保存できる上、情報管理の効率化を図ることで業績向上に寄与することができるというメリットもあります。
 
ぜひ下記の資料をご覧いただき、ご活用してみてください。

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