居抜き物件のメリット・デメリットは?退去の流れやポイント、注意点を解説します
目次[非表示]
- 1.居抜き物件とは?
- 2.居抜き退去のメリット・デメリット
- 3.居抜き退去の流れ
- 3.1.居抜きで退去したいことを伝える
- 3.2.解約予告を行う
- 3.3.原状回復工事やクリーニングの見積もり
- 3.4.残置物の選別
- 3.5.新しい借主の募集
- 4.居抜き退去の注意点
- 4.1.念のため新しい借主を探しておく
- 4.2.新しい借主が見つかりやすいようなデザイン・レイアウトを心掛ける
- 4.3.残置物の情報をはっきり残しておく
- 4.4.新しい借主が見つからない場合のことも考える
- 5.その他の居抜き入居者を探す方法
- 5.1.不動産業者に依頼する
- 5.2.居抜きマッチングサイトを利用する
- 6.まとめ
居抜き物件とは?
居抜きとは、主に店舗物件で前借主の内装や造作設備が残ったままの物件のことを指します。
テナントや飲食店として利用していた設備が揃っているため、入居後に事業を開始しやすく、出店の際の初期費用を抑えるメリットがあります。
居抜き退去のメリット・デメリット
借主が居抜き退去するときのメリット・デメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
貸主側の視点も合わせて解説します。
借主
メリット
一番のメリットは原状回復費用を削減できることにあります。
一般的には、退去する際はスケルトンの状態に戻さなければならず、設備や内装の撤去工事が必要となり多額の費用がかかります。しかし、居抜き退去をするとそのまま次の新しい借主に引き継がれるためその費用が必要なくなります。(一応クリーニングはしておきましょう。これは退去前に行うため費用は退去する借主が払うことになりますが、原状回復工事にかかる費用よりは安く済みます。)
また、解約予告期間中の賃料が免除になる可能性もあります。
ただし、居抜き物件に入居したのちに退去する場合は、スケルトンに戻さなければならない可能性もありますので、契約書をよく確認しましょう。
デメリット
デメリットとして、もし後継の借主が見つからなかった場合、原状回復工事が必要になり退去までのスケジュールがタイトになります。もちろん工事が必要になれば費用もかかりますし、そのまま退去するはずだった予定を変更して業者を探してスケルトンに戻してもらわねばなりません。
居抜きで退去する場合は、探す期間だけでなく、譲渡範囲や譲渡料を決める交渉の時間に加え、貸主・借主・新しい借主の三者間の合意も必要になるため、解約予告は退去の半年前には出し居抜き退去の相談は早めにしておくようにしてください。
そしてもし後継の借主が見つからなかった際にどうするのか、しっかり考えておきましょう。
貸主
メリット
前借主が残した内装やレイアウトなどをそのまま引き継いで、イメージや雰囲気を残したまま使いたいという新たな借主が見つかればそのまま貸すことができます。
居抜き退去の注意点で後述しますが、借主が居抜き物件を借りるメリットは大きいため、退去後空いてもすぐに埋まる可能性が高いです。
収入の切れ目がなくなるというメリットがあるため、貸主は居抜き退去を認めているというわけです。また、無駄な廃棄を出さないため環境にも優しく、それを意識する貸主もいらっしゃいます。
デメリット
貸主側のデメリットとして、前借主が設計した内装やそれが持つイメージによっては、新たな借主の候補が絞られてしまい、なかなか見つからないということがあります。
ですので借主が居抜き退去をする場合は、できるだけ汎用的なデザイン・レイアウトにしたり、多くの人が引き継ぎたいと思えるよう清潔な状態に保つなど工夫が必要です。
また、新たな借主と退去する借主とのトラブルを避けたいと考える貸主もたくさんおられます。設備の譲渡範囲や譲渡料などでトラブルになることがあり、巻き込まれたくないと考えているわけです。
居抜き退去をする際は、譲渡に関して事前にきちんと決めてトラブルを防ぐことも大切です。
居抜き退去の流れ
居抜き退去の手順を5つのプロセスに分けて解説します。
居抜きで退去したいことを伝える
最初に、貸主と管理会社に居抜きで退去したいことを伝える必要があります。
前述のとおり、新しい借主を探したり、見つけた後に譲渡範囲や譲渡料の交渉したりと時間がかかるため早めに相談することをお勧めします。
また、貸主は居抜き退去について詳しくない可能性もあるため、その際はメリットとデメリットをきちんと説明しながら交渉しましょう。
解約予告を行う
貸主や管理会社から居抜き退去の許可が下りたら退去の6ヶ月前に解約予告を行いましょう。
これは借地借家法にて定められています。
・借地借家法第27条
(解約による建物賃貸借の終了)
第二十七条 建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する。
2 前条第二項及び第三項の規定は、建物の賃貸借が解約の申入れによって終了した場合に準用する。
参照:e-GOV法令検索
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=403AC0000000090)
これが遅れてしまうと、予定日に退去が認められない可能性があるため、必ず守りましょう。
原状回復工事やクリーニングの見積もり
居抜き退去でも多少の原状回復工事が必要な場合もあります。その際は原状回復の見積もりをしなければなりません。
クリーニングに関しても早めに行っておき、新しい借主を探す時間に充てたり、決まったときスムーズに引き渡せるようにしましょう。
内覧の際に綺麗になっていると、相手から好感触が得られるかもしれません。
残置物の選別
居抜きで退去する際は、貸主や管理会社にレイアウトの図面や原状回復基準・仕様書、さらには原状回復工事の見積書や施工内容・工事図面の提出が必要です。
正確な情報を引き継ぐために、貸主や管理会社と連携をとって作成しましょう。
新しい借主の募集
ここまでの準備を終えたら、いよいよ新しい借主を募集します。
基本的には貸主と不動産会社が募集するため、見つかったら借主は引継ぎを行いましょう。
居抜き退去の注意点
スムーズに居抜き退去できるよう、以下のポイントに注意しましょう。
念のため新しい借主を探しておく
民法には原状回復をすることが明記されているため、居抜き退去は借主の要望になります。
・民法第621条
(賃借人の原状回復義務)
第六百二十一条 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
参照:e-GOV法令検索
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)
前述した通り貸主と不動産会社が募集しますが、見つからなかった場合は民法にのっとり居抜き退去を断られてしまいます。
そのため、借主側でも新しい借主を探してみましょう。なお、相談せず勝手に新しい借主を募集するのはトラブルになる可能性もあるため、必ず事前に相談することが大切です。
新しい借主が見つかりやすいようなデザイン・レイアウトを心掛ける
使いやすくシンプルなデザイン・レイアウトであればあるほど、借主の候補が増え、結果的に新しい借主が見つかりやすくなります。
個性的すぎると、希望者がなかなか見つからないため募集する前に、クリーニングを兼ねてある程度見直しておくとよいでしょう。
また、レイアウトやデザインが一目でわかる図を用意しておくのもおすすめです。
残置物の情報をはっきり残しておく
設備の補償期間の契約やリースの契約など、必要な情報は詳細に記録しておきましょう。
基本的には造作譲渡契約書に記載するため、あらかじめ記載するものをまとめておくとスムーズです。記載に漏れがあると、これもトラブルの原因になりかねないため注意が必要です。
新しい借主が見つからない場合のことも考える
新しい借主がすぐに見つかることが望ましいですが、万が一見つからなかった場合のことも考えておきましょう。
後述する方法を使えば、直接探しても見つからない場合の保険となるため、是非活用してみてください。
その他の居抜き入居者を探す方法
自分たちで直接後継テナントを探す以外の方法としては以下が挙げられます。
不動産業者に依頼する
オフィスや店舗に強い不動産業者は全国各地にあり、プロに依頼することで手間が省けトラブルも少なく後継テナントを見つけることができるでしょう。
しかし、手数料がかかることもあるので、事前にしっかりと確認を行う必要があります。
居抜きマッチングサイトを利用する
手軽に後継テナントを見つける方法として、居抜きマッチングサイトに掲載する方法があります。
マッチングが成立するまでは無料で利用できるサイトが多く、マッチングした場合の手数料に関しても不動産業者よりも比較的安価に抑えられる可能性があります。
サイトによっては、貸主への交渉などのコンサルも請け負ってくれるところもあるので、自分の目的に合ったマッチングサイトを利用することをお勧めします。
まとめ
居抜き退去の貸主・借主双方から見たメリットとデメリットに加え、手順や注意すべきポイントなどをまとめましたがいかがでしたでしょうか。
居抜き退去は貸主との相談や新しい借主との交渉など話し合いが大事になってきます。
また、スケジュール管理も徹底する必要があるため、焦って間違わないよう早め早めの行動が求められます。
Pro-Signでは交渉履歴等もきちんと管理出来るようになりますので、店舗毎の情報管理が必要な際は御活用頂ければと思います。