住所でよく見る「大字(おおあざ)」とは何か?
日頃から物件情報の管理を行っていると、物件の住所に大字が含まれるケースをよく見ませんか?Pro-Signにも非常に多くの物件が登録されていますが、住所に大字のつく物件も多数存在します。 この大字、そもそもどういったものかご存じでしょうか。
今回は、知ってみると意外に面白い大字について御紹介したいと思います。
大字の由来は明治時代に遡ります。当時、江戸時代から明治時代に変わり、近代的地方自治について考えられてきました。
元々、江戸時代の「町・村」は幕藩体制下における城下町等、武士や町人が暮らす町と、農民が暮らす集落としての村とで、地方自治体としての機能を果たしていました。
明治維新を経て誕生した明治政府は、江戸を東京と改称して首都とし、年号も明治に改め、近代国家の地方行政機関としての機能を果たすために、多くの改革を行いました。その中の一つが「市制町村制」の制定です。
これにより、江戸時代から引き継がれていた「町・村」の規模では、行政上の目的(教育、徴税、土木、救済、戸籍の事務処理)が果たせないものも多いことから、約300~500戸を標準規模として、その規模に合うように全国的に町村合併が行われました。いわゆる「明治の大合併」です。
この大合併により明治21年に存在していた71,314の町・村は、明治22年には39の市と15,820の町・村となりました。
大字が出てくるのは、このタイミングからです。
上記の市町村合併によって、新たな町村名が生まれるわけですが、その際に消滅することとなった江戸時代からの町・村の名前を残す為に、新しい自治体が引き継いだものを「大字○○」と表記するようになりました。
例えば現在のさいたま市の住所に、さいたま市西区大字飯田という地名がありますが、これは、江戸時代より存在した飯田村の名前を残し「大字飯田」となっているものです。さいたま市西区の中でも、元々飯田村があったエリアですよという意味ですね。
市町村合併は明治以降も度々行われてきていますが、その地に住む人々の思いを受け、慣れ親しんだ旧名称を残すよう、自治体が判断したものが大字として残っています。
このように考えると、普段見ている地名も少し見方が変わりませんか?
大字というのは地方や田舎独特のものではありません。御自身の周辺でも大字の文字を見かけたら、歴史を調べてみるのも面白いかもしれませんね。