店舗開発部へ配属されたら覚えておきたい不動産用語集
店舗開発部へ配属されると、日常生活ではあまり聞くことのない不動産用語を耳にする機会が増えます。この記事では、店舗情報を管理する際に覚えておきたい不動産用語について解説していきます。
目次[非表示]
- 1.用語集
- 1.1.借主
- 1.2.貸主
- 1.3.仲介業者
- 1.4.管理会社
- 1.5.転貸人
- 1.6.転借人
- 1.7.地位承継
- 1.7.1.※承継と継承の違い
- 1.8.停止条件
- 1.9.賃貸借契約書
- 1.10.重説
- 1.11.公正証書
- 1.12.普通借家契約
- 1.13.定期借家契約
- 1.14.普通借地
- 1.15.定期借地
- 1.16.駐車場
- 1.17.住所(住居表示)
- 1.18.地番
- 1.19.家屋番号
- 1.20.敷地面積
- 1.21.建物面積
- 1.22.原契約締結日
- 1.23.契約締結日
- 1.24.内容改定日/内容改定終了日
- 1.25.契約開始日
- 1.26.契約終了日
- 1.27.更新拒絶通知時期
- 1.28.中途解約通知期限
- 1.29.巻き直し
- 1.30.土地賃料
- 1.31.建物賃料
- 1.32.共益費/管理費
- 1.33.敷金
- 1.34.保証金
- 1.35.償却金
- 1.36.礼金
- 1.37.権利金
- 1.38.建設協力金
- 1.39.歩合率(歩合賃料)と最低保証賃料
- 1.40.RC造
- 1.41.SRC造
- 2.まとめ
用語集
借主
借主とは、お金を払って不動産を借りる人のことをいいます。
貸主
貸主とは、物を貸す人を指す言葉で賃貸人ともいいます。借主の場合もですが、賃貸物件の契約書でも使われている言葉であり、前文・条文でそれぞれを“甲”“乙”と表記すると記載されている場合もあるため、その点も確認して読んでいく必要があります。
また、その不動産を所有する人のことは所有者といいます。
仲介業者
不動産を売るまたは、賃貸として貸す際に、売主・貸主と買主・借主の仲介役として不動産の売買契約や賃貸契約の成立に向けて業務を行う業者のことをいいます。
不動産仲介業の収益は、各種契約締結の際に成功報酬として発生する手数料が主なものとなります。
管理会社
不動産管理会社は、主に賃貸物件の管理をする会社です。オーナーに代わって賃貸物件の管理・メンテナンスを行なうと同時に、入居者募集や入居者のクレーム対応なども行ない、オーナーと入居者の双方が満足のいく住環境を整えます。
なお不動産管理会社は、不動産仲介会社と混同されることがありますが、その業務内容は大きく異なります。
不動産仲介会社は、主に不動産の売買や賃貸の契約・取引に関することを取り扱う会社で、買主・売主・借主・貸主などから依頼を受け、物件を提案するのが仕事です。
また、両者の大きな違いとして、宅地建物取引業には該当するか否かということも挙げられ、不動産仲介会社は宅地建物取引業に該当しますが、不動産管理会社は該当せず、宅地建物取引士のような専門家を確保しなければならない法律の規制がありません。
転貸人
転貸人とは物件を転貸する人のことをいい、物件の所有者である貸主との契約(原賃貸借契約)を維持しつつ、新たに転借人と契約を結びます。ただしそれぞれの契約は独立したものであり、転貸借契約を結んだからといって貸主と結んだ契約に変更があるわけではありません。
例えば、転貸人は転貸借をした後にその物件を使用する事はありませんが、貸主との契約が終了した場合は、原賃貸借契約の借主として物件を明け渡す義務があります。
また、転借人が物件に対して損失を与えた時は、転貸人は原賃貸借契約の借主として貸主に対する賠償責任を負います。
転借人
転借人とは、ある人が他の人から借りている物件をさらに借りている人のことをいいます。転貸人と転貸借契約を結びますが、貸主と契約を結ぶわけではないため、両者の間に契約上の権利や義務が生じる事はありません。
しかし、民法においては転借人は貸主に対して直接に義務を負うとされている為、転借人は契約上の責任は無いものの、法律上の責任を負う事になります。
例えば、転貸人が貸主に対する賃料を支払わなかった場合、貸主が直接、転借人に賃料を請求する事も可能であり、仮に転貸人に対して既に賃料を支払っていたとしても、貸主からの請求を拒否する事はできません。そのため、転借人は貸主へ必要な賃料を支払った上で、転貸人に対して、その賃料の返還を請求する事になります。
地位承継
不動産や債券・債務といった、さまざまな資産・負債・権利・義務を別な人に引き継ぐことをいいます。不動産の場合、不動産の持ち主である賃貸人の地位承継と、借りる側である賃借人の地位承継があります。
※承継と継承の違い
承継と継承の意味に明確な違いはないとされていますが、「承継は地位・事業・精神などを受け継ぐこと、継承は身分・権利・義務・財産などを受け継ぐこと」となっており、別な意味として定義されています。
契約書(賃貸借契約書や覚書など)などの法律的意味合いが強い場合は、「承継」が使われ、法律にも「承継」の方が使われています。
停止条件
停止条件とは、条件が成就するまでの間、法律効果の発生を停止しておく条件のことをいいます。契約の効力の発生を将来起きるかどうか決まっていない事実を仮定した上で、約束する契約を「停止条件付賃貸借契約」などといいます。(「仮定が成就すれば、契約が動きだす」といった意味合い)条件とされる事実が発生しなかった場合、契約は無効となります。
賃貸借契約書
貸主と借主の取り決め事項を書面化したものを指します。また、賃貸借契約書は貸主と借主の間で締結します。
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覚書
契約書の内容に変更があった場合にその変更事項のみを抜粋し、変更があった旨とその詳細を書き記した書面です。
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重説
重要事項説明の略で、宅地建物取引業者が契約を締結する前に重要な事項を、書面を交付して説明することをいいます。重要事項説明は、不動産取引を行う上で義務付けられており、説明する項目は宅建業法で定められています。
公正証書
公正証書とは証書のひとつで、公証役場の公証人が契約当事者双方・被相続人等の依頼により作成又は認証した契約書・遺言などの証書のことをいいます。公正証書は、契約書が真正に成立したものの証明になり、債務不履行の場合に支払い命令を経ず直ちに強制執行を行なえるようになります。
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普通借家契約
1年以上の賃貸借期間が定められており、契約更新ができる契約形態です。契約後は解約の手続きをするまでは同条件で更新される一般的な借家契約になります。
定期借家契約
一定の期間が定められ、期間満了時に契約が終了する契約形態です。普通借家契約とは違い、契約更新という概念はないため、更新したい場合は新たに契約をし直す必要があります。例外はありますが、原則として中途解約ができないのが特徴です。 また、必ず契約書や公正証書などの書面により契約をすることが条件づけられています。
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普通借地
30年以上の賃貸借期間が定められており、契約の更新が可能な土地の賃貸借契約のことをいいます。最初の更新は20年以上、以降の更新は10年以上(建物を再建築した場合には、地主の承諾を得ることで、承諾の日、再建築の日のいずれか早い日から20年)となります。
定期借地
更新がなく、賃貸借期間の満了により契約が終了する土地の賃貸借契約のことをいいます。事業用定期借地契約書は、公正証書にすることが条件づけられています。
※建物譲渡特約付借地権は書面の必要はなく、口頭でも可とされている。
一般定期借地権、建物譲渡特約付借地権、事業用借地権の3つと一時使用目的を足して4つに区分されており、それぞれ契約の存続期間や契約終了時の土地の返還方法などが異なるのが特徴です。
駐車場
駐車場の契約のことをいいます。基本的に土地の契約が多いですが、この限りではありません。
住所(住居表示)
住居(建物)に対して振り分けられた番号を指します。
地番
地番とは、法務局が定めた住所です。土地の場所、権利の範囲を表すための登記上の番号で郵便が届く住所(住居表示番号)とは異なる番号です。地番区域内において、一筆ごとの土地を特定するために付される番号になります。
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家屋番号
建物を特定するための番号で、法務局が登記される建物に付する番号です。基本的には、建物の敷地の地番と同一の番号で表示されます。
敷地面積
建物が建っている、またはこれから建てる土地の面積を指します。
※土地面積ともいう
建物面積
建物の各階の床面積の合計を指します。
※延べ床面積ともいう
原契約締結日
最初に締結した、1回も更新や変更が生じていない状態の契約日を指します。
契約締結日
作成した契約書に、当事者全員の署名または押印が完了した日を指します。
内容改定日/内容改定終了日
契約の内容が改定する日/契約の改定内容の適用されなくなる日を指します。
契約開始日
契約がスタートする日を指し、家賃が発生となる基準日となります。
契約終了日
契約が終了する日を指し、家賃が発生する最終日となります。
更新拒絶通知時期
契約を更新しない意思を通知しなければならない時期を指します。なお、一般的な賃貸借契約(普通借家契約)の場合、原則として貸主から一方的な更新拒絶をすることはできません。
中途解約通知期限
貸主または借主に対して事前に解約の意思を通知しなければならない期限です。
巻き直し
一度交わした契約内容に変更があった場合、内容を変更したうえであらためて契約を交わすことを指します。
土地賃料
土地を借りる時の賃料(普通借地、定期借地)を指し、土地の譲渡や貸付けは、消費税の課税の対象とならないこととされています。(非課税取引)なお、土地の貸付けのうち、貸付けに係る期間が1か月に満たない場合および駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合は、非課税にはなりません。
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建物賃料
建物を借りるときに支払う賃借料のことを指します。事務所などの事業用建物を貸し付ける場合の賃料は課税の対象となります。この場合、賃料を土地部分と建物部分とに区分している場合でも、その総額が建物の貸付けの対価として取り扱われます。なお、住宅用としての建物の貸付けは、貸付期間が1か月に満たない場合などを除き非課税となりますが、契約において住宅用であることが明らかにされているもの(契約において貸付の用途が明らかにされていない場合にその貸付等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかなものを含む)に限ります。
共益費/管理費
借主が共同で利用する施設や設備を維持・運営するために必要な費用を指します。(共用エレベーターの電気代や定期点検代、水道代やごみ置き場の清掃費用など)
なお、建物によって、「共益費」と「管理費」が混在し、意味合い的には、ほぼ同じものとして使用されておりますが、厳密には、共益費は共用部分の管理や清掃に要する費用、管理費はそれらを含む建物全体の維持管理に要する費用を指します。
敷金
敷金は、貸主への金銭債務(「家賃の滞納」や「部屋を損傷させた場合の修理費」など)を担保するため借主が支払うもので、非課税となります。契約が終了して退去する際、それまでに生じた金銭債務を差し引いた分が返還されます。また、敷金の相場は事業用で賃料の6~12カ月分、住居用で賃料の1カ月分と言われています。
保証金
保証金は原状回復費用などに充てられ、残った分は返還されるものなので、敷金とほぼ同じ目的で貸主に預けるお金で、非課税となります。契約が終了して退去する際、それまでに生じた金銭債務を差し引いた分が返還されます。また、保証金の目安は事業用で賃料の6~12カ月分、住居用で賃料の3~5カ月分と言われています。
償却金
入居の際に支払った敷金や保証金のうち、賃貸物件の退去時に返還されない金銭のことを指します。「敷引」も「償却」と同じ意味で使用されます。消費税は、事業用は課税対象となりますが、住居用は非課税となります。
礼金
不動産の賃貸借契約に際し、借主から貸主に支払われる一時金の一種(貸主にお礼の意味で払う)です。消費税は、事業用は課税対象となりますが、住居用は非課税となります。相場としては家賃の1ヶ月分のケースが多く、貸主に謝礼として払うため戻ってこないお金となります。
権利金
権利金とは、不動産の賃貸借契約を交わす際に、一時金として支払われる金銭のことで、その土地における対価として借主が貸主に支払うものです。また、権利金も礼金と同様に原則戻ってこないお金となります。
建設協力金
建設協力金とは、入居予定の借主が土地の所有者に渡す預託金です。土地の所有者は建設協力金を受けて、借主が希望する建物を建築し、貸し出します。返済費用は借主が土地の所有者に毎月支払う賃料と相殺できるので、金融機関から資金を借り入れる必要もなく返済負担が軽減されます。
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歩合率(歩合賃料)と最低保証賃料
歩合賃料とは、オフィスの賃料とは異なり、一般的にショッピングモールを含む商業施設で適用される賃料です。
使用面積単位に設定される固定の賃料に加えて、基準とした売上高を超えた売上に比例して計算される賃料の合計が歩合賃料となります。また、歩合賃料と基準売上高は、立地・店舗の形態により異なります。
歩合賃料は、毎月決まった額の賃料を支払う賃貸住宅や賃貸オフィスとは違い、テナントのその月の売り上げに一定の歩合率を掛けた額を支払うという特徴があります。
テナント側からすると、売り上げ額に合わせて賃料が増減するので、売り上げが悪かった月でも賃料負担が重くなりすぎないというメリットがあります。ただし、売り上げが0円だったとしても賃料が無料になるわけではなく、契約時に「最低保証売上」を設定し、売り上げが極端に悪かった月でも、最低限の賃料をテナントから回収する契約が一般的です。これにより、貸主側は売上の乱高下に左右されることなく、安定して施設運営をすることができます。
RC造
RC造とは「Reinforced Concrete」の略で、柱などの主要構造部を鉄筋コンクリートで構築している建物構造です。住宅やビル、マンション等で多く採用される工法で、耐火性・耐震性に優れています。
SRC造
SRC造とは「SteelReinforcedConcrete」の略で、柱などの主要構造部を鉄筋コンクリートと鉄骨で構築している建物構造です。鉄骨が加わることにより、RC造よりも耐久性がさらに高くなります。
まとめ
不動産用語というものはまだまだ沢山ありますが、今回は、店舗やオフィス、駐車場などの賃貸借契約の中で、一見では意味が分かりにくい用語をまとめました。
特に事業用の賃貸借契約では、耳慣れない不動産用語が出てきますので、今回の用語集がお役にたてれば幸いです。