多店舗展開企業の大きな課題!業務効率化に向けたDX推進の成功・失敗事例とは


企業は多店舗展開を行うことで、売上増加や仕入れ価格の値下げ、認知度向上など様々な恩恵が受けられます。その一方で、自社の店舗展開における人手不足解消、業務・マネジメントの効率化も避けては通れません。

特に、企業の総務部や店舗開発担当者は、多岐にわたる店舗の運営に奔走していることから、DX(デジタルトランスフォーメーション)によるアナログ環境改善の必要性を強く感じていることでしょう。DXの推進を通じて、よりスムーズな運営を実現することが求められています。

そこで今回は、小売業、飲食業、サービス業を中心とした多店舗展開時の業務問題と、DX推進の具体的な成功事例、失敗事例について紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.DX推進の波は、飲食業を筆頭に広がっている
  2. 2.多店舗経営でDXが進まない原因と成功へのカギ
  3. 3.DX推進の成功事例
    1. 3.1.ファミリーマート「無人決済システム」(小売店)
    2. 3.2.スターバックス「Mobile Order & Pay」(飲食店)
    3. 3.3.Zeals「接客DX」(サービス業)
  4. 4.DX推進の失敗事例
    1. 4.1.セブンイレブン「セブンペイ」(小売業)
    2. 4.2.ブルースターバーガー「超スマートモデル」(飲食業)
  5. 5.事例から学ぶDX成功への道
  6. 6.まとめ


DX推進の波は、飲食業を筆頭に広がっている

ここ数年、多店舗経営を行っている小売・飲食などの業界でもDXの波が押し寄せています。コロナ禍によるリモートワークの推進、人手不足の解消、業務効率化の必要性など、企業の急激なデジタル化が求められているためです。


「人手不足に対する企業の動向調査(2022)」(帝国データバンク)によれば、各業界における「非正規従業員不足割合」の比較において、飲食店が、76.3%という最も高い数値を示したと発表しています。また、娯楽サービス業界(55.3%)や総合スーパーなどを含む各種小売業界(51.2%)など、こちらも半数以上の従業員不足が報告されており、デジタル化は待ったなしの状況が続いているのです。

参照:人手不足に対する企業の動向調査(2022年10月)


多店舗経営でDXが進まない原因と成功へのカギ

多店舗展開を進めている企業にとっても、DXは重要なテーマでしょう。しかし、契約書の管理や契約手続きなど、未だアナログな業務が主流であり、マネジメントの観点からも一元管理が難しく、業務効率化・コスト削減を達成できない実情があります。

企業は、デジタル化することでこれらの課題を解決しようとしていますが、一方で新たな課題も生まれています。それは、既存の業務フローへのデジタル化の導入、従業員のスキルアップ、そしてシステム投資といった、DX推進に必要なリソースの確保です。

成功するためのカギは、デジタル化の導入をただの業務改善と見なさず、全体戦略と連携させた経営革新へと位置づけ、具体的な目標を定めることです。そこで今回、どうすればDX推進を成功に導くことができるのか、成功事例と失敗事例を挙げて考察していきます。


DX推進の成功事例

まずは実際にDXを導入して成功した事例を見ていきましょう。


ファミリーマート「無人決済システム」(小売店)

キャッシュレス決済の推進や店舗オペレーションの負荷、そしてコロナ禍を考慮に入れたファミリーマートの課題は、コストの削減と、人手不足解消に向けた従業員の省力化でした。同社は、感染対策が義務付けられた状況を受け、無人決済システムの導入に取り組みました。

このシステムは、設置されたカメラやセンサーを活用し、店内で手にとった商品をリアルタイムで認識した上で、購入した商品を代金とともに表示することができます。その後、面倒な手続きを簡略化し、電子マネーなどでスムーズに支払いを行うことができます。従業員の省力化やコスト削減、非接触決済に貢献することはもちろん、お客様にとっても、簡単な手続きによりスムーズなショッピング体験を提供することができるため、利便性が向上しました。


スターバックス「Mobile Order & Pay」(飲食店)

スターバックスは、33,000の店舗展開を誇る世界的なコーヒーチェーンです。同社は、居心地の良さを備えた店舗体験で人気を博しています。しかしながら、最近では、店舗DXに注力し、アプリやSNSなどを活用して、顧客体験を向上させる取り組みを進めています。

コロナ流行で需要が高まった非接触サービスや、顧客からのアンケートで指摘の多い「レジでの待ち時間が長い」といった問題に対応するため、同社はMobile Order & Payのサービスを2020年12月より提供し始めました。これは、顧客がスマートフォンアプリで事前にオーダーと決済をし、指定された店舗で待たずに商品を受け取ることができるサービスです。スマホアプリ経由で注文した商品が用意されると、プッシュ通知が送信され、モバイルオーダー専用のカウンターで手軽に商品を受け取ることができます。

顧客データの分析により、Mobile Order & Payを利用する顧客は、通常の顧客と比べてドリンクをカスタマイズする確率が高いことや、来店頻度の増加が認められ、利便性の向上が体験価値の向上にもつながっていることが分かりました。


Zeals「接客DX」(サービス業)

株式会社Zealsは、新型コロナウイルス感染症の影響で、実店舗での接客が減少している企業に向けて、接客DXを打ち出しました。事業閉鎖と緊急事態宣言によって、店舗従業員の接客機会が大幅に減少している中、顧客との接触を最小限にとりつつ、対面の接客に劣らない新たな接客体験を実現することを目指しました。接客DXでは、「チャットボット」「有人チャット」「ビデオ接客」などの一連のサービスを展開しており、これらをシームレスに組み合わせることで、顧客の不安を解消しつつ、オンライン上で接客体験の再現に成功しています。


DX推進の失敗事例

続いて、DXを導入したが上手くいかなかった失敗事例について記していきます。


セブンイレブン「セブンペイ」(小売業)

セブンペイは、マネジメント管理に関連したビッグデータの収集、特に顧客や購買情報の収集に焦点を当てたスマートフォン決済サービスとして、2018年に始まりました。しかしながら、サービス開始直後に不正アクセスが発覚し、3,800万円もの被害を被ったことで、サービスはわずか3ヶ月後に終了しました。

セブンペイの失敗の大きな理由は2つあります。1つ目は、2段階認証の管理を怠ったセキュリティー問題で、2つ目は、セブンアプリへのログインがスムーズに進まず、顧客からの問い合わせが殺到し、店頭の従業員が対応に追われたことです。ログイン問題は、セブン&アイの導入した主力の会員システム「7iD」が関わっています。

「7iD」の会員総数は、なんと1,650万人にも達しています。セブンペイは、リリース当初に「7iD」のアカウントを使用してセブンペイに登録できるアナウンスがされましたが、すぐに「のっとり」によって悪用され、多くの被害が発生しました。このため、セブン&アイ側は、会員のパスワードをリセットして再設定する必要性をアナウンスしましたが、元々のパスワードを覚えていない人たちには、苦労を強いることとなったのです。


ブルースターバーガー「超スマートモデル」(飲食業)

ブルースターバーガーは、革新的な「超スマートモデル」を取り入れ、飲食業にITを最大限に活用しました。オーダー、支払い、および受け取りまで、完全な非接触によるアプローチで実現されます。店舗は「完全キャッシュレス・テークアウト専門」で、これにより、家賃、内装費、人件費などの多くのコストが削減され、商品原価率を68%にまで引き上げることができました。通常の飲食店の原価率が30%程度であることを考えると、非常に優れた結果であるといえます。

コロナ禍という特殊な時期に、この新しいビジネスモデルが「日本外食DXの成功例を目指す世界ブランド」として注目されました。しかしながら、日本では現金決済が依然として主流であることや、「テークアウト専門」という店舗形態が定着するまでには至らなかった事情など、いくつかの課題がありました。これに加え、ロシアのウクライナ侵攻による原材料の高騰など、外的要因による意外な変化の影響もあり、最終的には、ハンバーガーの品質が維持できなくなってしまいました。


事例から学ぶDX成功への道

多くの企業が抱える失敗として、デジタルトランスフォーメーションを目的化してしまい、本来の原点を見失ってしまうことが挙げられます。この罠に陥らないためには、企業のトップ層がDXの目的を正確に理解して、DX推進にコミットすることが重要です。セブン&アイやブルースターバーガーの事例は共通の教訓と捉え、DX戦略の検討や見直しにしっかりと反映させましょう。

失敗・成功事例では、「ITを活用したDXを実現する」という点は共通ですが、「どの局面にITツールを導入し、どのような顧客価値を提供することができるか」については、大きな相違がみられました。この観点が、DXを成功させる最も大切な要素であることは間違いありません。


まとめ

DX推進の波を受けて、小売り・飲食・サービスの多店舗展開企業にも大きな変革が迫られています。人手不足の解消、業務効率化、マネジメントの効率化を実現するためには、システムサービスの活用が不可欠です。

しかし、DXを実現することが目的ではありません。その先にある顧客へのサービス向上に目を向けない限り、真の成功には近づけないでしょう。

適切なDXを導入することで、これまでの時間と労力を大幅に削減し、より価値ある業務にリソースを振り分けることが可能となります。これからの多店舗展開企業のDX推進に、本記事の参考事例をご活用ください。


  小売業3社の事例から見るキャパオーバーを防ぐ業務効率化 日頃の業務においてキャパオーバーだと感じたことはありませんか?もしくは、仕事でパンク寸前の従業員を抱えていませんか?この記事では、人手不足に悩む経営陣や、キャパオーバーに苦しむ現場で働く方々に参考になる、現代の働き方に即したキャパオーバー解消の方法を紹介します。 Pro-Sign賃貸借契約書管理システム



おすすめの資料

人気記事ランキング

カテゴリ一覧

タグ一覧