不動産に関する支払調書の書き方のポイントは?e-Taxの使い方も解説


目次[非表示]

  1. 1.不動産の支払調書とは
  2. 2.支払調書提出の対象者
  3. 3.支払調書の記入項目
    1. 3.1.住所または所在地
    2. 3.2.氏名または屋号
    3. 3.3.個人番号または法人番号
    4. 3.4.物件の区分
    5. 3.5.物件の所在地
    6. 3.6.細目
    7. 3.7.計算の基礎
    8. 3.8.支払金額
    9. 3.9.支払確定日時
    10. 3.10.あっせん手数料
    11. 3.11.摘要
  4. 4.テンプレートを活用するメリット
    1. 4.1.時間の短縮
    2. 4.2.ミスを防ぐ
    3. 4.3.コンプライアンスの遵守
  5. 5.テンプレートを活用する時の注意点
    1. 5.1.バージョン
    2. 5.2.セキュリティ
    3. 5.3.実用性
  6. 6.法定調書はe-Taxでも作成できる
  7. 7.まとめ


提出期限間近に支払調書の書き方が分からず、慌ててしまった経験はございませんか。
 
支払調書などの公的書類は、様々な規定が設けられており、担当者が厳しくチェックしています。
 
ルールの認識が曖昧な状態で慌てて支払調書を作成すると、差し戻されたり、遅延したりするかもしれません。
 
本記事は、支払調書の書き方について具体例を用いながら解説しています。
 
以下のように考えている方は、本記事を参考にしてください。
 
1.支払調書の必須項目を知りたい
2.支払調書をテンプレートを用いて作成したい
3.e-Taxを使って支払調書を作成・提出したい


不動産の支払調書とは

支払調書とは、税金に関する法律規定により税務署への提出が義務付けられている「法定調書」のひとつです。
 
不動産の支払調書は、報酬や料金の支払いをした企業や不動産事業者である個人が支払の詳細を報告するために作成します。
 
支払調書は、税務署が担当しており、金銭の流れを把握し、正しく源泉徴収が行われているかなどを確認するために利用しています。
 
支払いが確定した日の翌年1月31日までに、納税地などを管轄する税務署長に支払調書を提出しなければなりません。
 
提出義務があるにもかかわらず提出しなかった場合は、所得税法違反となり、1年以下の懲役または50万円以下の罰金になる可能性があります。
 
なお、税務署への提出は義務ですが、報酬の支払先へ支払調書の写しの交付は義務付けられていません。
 
商取引や慣習の都合上、支払先へ支払調書を発行している企業もありますが、昨今は経済的な理由から交付しない企業も増えています。


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支払調書提出の対象者

支払調書の提出範囲は、支払調書の種類によって異なります。
 
所得税法第204条第1項各号や所得税法第174条第10号、租税特別措置法第41条の20に規定されている報酬や料金、契約金、賞金などを支払う人が作成する支払調書では、年間の支払金額の合計額が一定額を超える場合に提出が必要です。
 
土地や建物などを販売・使用する権利や総トン数20t以上の船舶、航空機に対して支払う法人や不動産業者である個人が提出する支払調書は、主として建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業を営んでいる不動産業者の個人は、提出義務がありません。
 
支払調書の金額は、消費税および地方消費税の額を含めて判断しますが、消費税および地方消費税の額が明確に区分されている場合には、その額を含めないで判断しても差し支えありません。
 
自身が対象者かどうか知りたい方は、国税庁や商工会議所などの公的機関や、税理士などの専門家に相談してみてください。


支払調書の記入項目

支払調書の記入項目は、作成者や使用用途によって異なります。
 
ここからは、支払調書に必要な項目で代表的なものを11個紹介します。
 
支払調書を作成したことがない方のために具体例も記載しているため、そちらも参考にしてください。
 
また、国税庁の公式ホームページでも記入項目について解説しています。
 
気になる方は、そちらも併せてご覧ください。


住所または所在地

支払調書には、支払を受ける側と支払者の住所や所在地を記載しなければなりません。
 
住所や所在地は、対象となる不動産ではなく、作成時に住んでいる住居や活動している事務所の住所や所在地ですので気を付けてください。
 
また、不動産等に対して貸付けのあっせんをする場合は、あっせんをした法人または不動産業者である個人の住所または所在地も記載してください。


氏名または屋号

支払調書には、支払を受ける側と支払者の氏名や屋号を記載しなければなりません。
 
不動産等に対して貸付けのあっせんをする場合は、あっせんをした法人または不動産業者である個人の氏名や屋号も記載してください。


個人番号または法人番号

支払調書には、支払を受ける側と支払者の個人番号や法人番号を記載しなければなりません。
 
不動産等に対して貸付けのあっせんをする場合は、あっせんをした法人または不動産業者である個人の個人番号や法人番号も記載します。
 
個人番号を記載する場合は、右詰で記載してください。
 
法人番号を知りたいときは、国税庁が運営している法人番号公表サイトがおすすめです。
 
なお、家主が死亡した場合は、個人番号の記入は不要です。


物件の区分

支払調書には、対象の不動産等の区分を記載しなければなりません。
 
区分には、「地代」、「家賃」、「権利金」、「更新料」、「承諾料」、「名義書換料」、「船舶の使用料」などと記載します。
 
一例として、アパートの賃貸料に対する支払調書を作成する場合は、物件の区分に家賃と記載してください。


物件の所在地

支払調書には、対象の不動産等の所在地を記載しなければなりません。
 
船舶や航空機などを扱う場合は、登録した期間の所在地を記載します。
 
一例として、神奈川県横浜市に住んでいる個人が東京都品川区にある期間で航空機を登録した場合、物件の所在地は、品川区にある期間の所在地を記載してください。


細目

支払調書には、土地の利用種別(例:宅地、農地、山林など)、建物の建築構造や使用目的などを記載してください。
 
一例として、水田を売買する場合は、細目に農地と記載します。


計算の基礎

支払調書には、賃貸期間や賃料の単位(月、週、日、㎡など)、部屋数、および面積を明記してください。
 
一例として、家賃が月額80,000円で20㎡の部屋を1部屋賃貸借している場合は、計算の基礎に「賃料:月額80,000円」、「部屋数:1部屋」、「面積:20㎡」というように記載します。


支払金額

支払調書には、確定した支払金額を、各支払内容別に記載してください。
 
支払金額は、不動産ごとに記載するため、合計金額を算出する必要はありません。
 
通常、支払調書には消費税を含む金額を記入しますが、消費税を記載する欄が別途設けられている場合は、消費税を除外した金額でしてください。
 
また、年内に支払いが確定した前払費用や未払い費用も金額に含めます。
 
一例として、支払家賃が600,000円(50,000円×12ヵ月)、前払家賃が50,000円の場合は、支払金額に650,000と記載します。


支払確定日時

不動産等に対して貸付けのあっせんをする場合は、支払調書に支払が確定した日時を記載します。
 
一例として、住宅の売却希望者と購入希望者の契約が締結したのが2023年10月1日、支払が確定したのが2023年10月20日であれば、支払確定日時には2023年10月20日と記載します。


あっせん手数料

あっせんの際に仲介者に支払われる報酬を「あっせん手数料」といいます。
 
不動産等に対して貸付けのあっせんをする場合は、支払調書にあっせん手数料の金額を記載します。


摘要

支払調書に追記事項がある場合は、摘要を使います。
 
不動産の使用料が地上権や賃借権、その他の土地上の権利に基づく対価の場合も摘要に権利の存続期間を記入してください。
 
また、家主が死亡したため、個人番号の記入を省略した場合なども、摘要に「家主が死亡したため、個人番号を省略しました」というように省略した旨を記載します。


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テンプレートを活用するメリット

国税庁の公式ホームページをはじめ、さまざまなウェブサイトやアプリケーションで支払調書の無料テンプレートをダウンロードできます。
 
ここからは、テンプレートを活用して支払調書を作成するメリットを解説します。


時間の短縮

支払調書を一から作ると、業務の引継ぎなども含めて膨大な時間と人件費が必要となります。
 
個人事業主は、支払調書に時間を掛けすぎると、本業に着手できません。
 
しかし、テンプレートには、予め必要な項目が設定されているため正確かつ効率的に支払調書を作成できます。
 
また、VBAなどを活用したり、会計ツールや経費管理ツールなどを併用したりすると、より一層手間が省けます。


ミスを防ぐ

支払調書を作成するたびに書式を変更すると、クオリティに差が出るだけでなく、ミスが発生するリスクが生じる可能性が高まります。
 
テンプレートには、必要な情報の入力欄が事前に設定されており、どの情報をどこに入力すべきかが明確です。
 
そのため、入力漏れや誤入力のリスクを減少できます。
 
また、一貫性のあるフォーマットを使用することで、データの整合性を保てるため、間違っている箇所を修正するのも容易です。
 
テンプレートを利用して調書作成時の小さなミスを防ぎ、全体的な正確性を向上させましょう。


コンプライアンスの遵守

支払調書に不備があると、信頼性や権威性の低下を引き起こす可能性があります。
 
そのため、支払調書を一から作成する場合は、専門家や専門部署の監修のもと作成しなければなりません。
 
そのため、非常に手間がかかります。
 
しかし、テンプレートは、法的要件に基づいて作成されているため、法的なミスや違反のリスクが軽減されます。


テンプレートを活用する時の注意点

支払調書のテンプレートを活用することは、メリットが多い半面、注意しなければならないこともあります。
 
ここからは、代表的な注意点を3つ紹介します。


バージョン

テンプレートを活用する時は、作成日や更新日がいつかを確認してください。
 
法律の改正などがあった場合、バージョンの古いテンプレートを使用すると、正しく記入したとしても、指し戻される可能性があります。
 
テンプレートのバージョンが分らない場合は、テンプレートを公開しているウェブサイトやアプリケーションの更新履歴を確認してください。


セキュリティ

信頼性の低いソースからのダウンロードは、悪意のあるプログラムやコードである「マルウェア」の感染や、情報漏洩のリスクがあります。
 
支払調書には、個人番号や不動産情報など機密情報が含まれているため、支払調書の情報が漏洩すると、信用や権威性が著しく低下するかもしれません。
 
また、更新されていないテンプレートは、最新のセキュリティ基準に適合していない可能性があります。
 
テンプレートをダウンロードする時は、事前に口コミや比較サイトで対象のソースや運営会社が信用できるかどうかを判断してください。
 
ITの専門家に相談したり、ウイルスバスターなどをインストールしてセキュリティ対策をしたりするのも効果的です。


実用性

支払調書は、不動産事業だけでなく、幅広い場面で活用されている書類です。
 
特有の取引内容や、業界固有の形式がある場合は、一般的なテンプレートだと対応できない場合があります。
 
また、無料テンプレートは公式のものと見なされないこともあるため、内容が間違っている可能性があります。
 
テンプレートを使用する場合は、専門家や知見のある方に確認してもらい、必要に応じて修正してください。


法定調書はe-Taxでも作成できる

「e-Tax」とは、国税に関する申告、申請、届出をオンラインで行うためのシステムです。
 
税務申告や納税のプロセスを効率化するツールとして注目を集めています。
 
法定調書は、e-Taxでも作成できます。
 
e-Taxを使用して法定調書を作成する方法は、以下の通りです。

1.e-Taxソフトのメインメニューを開く
 2.e-Taxソフトのメインメニューからログインする
3.「申告・申請」-「新規作成」の順にメニューを選択する
4.「作成手続きの選択」画面から、必要な法定調書を選択する
5.「申告書等の作成1/2」画面から作成したCSVファイルを「読込」ボタンを押して読み込む
6.Excelなどを利用してCSVファイルを作成する
7.法定調書合計表の作成 CSVファイルを読み込み、「次へ」ボタンを押して法定調書合計表を作成する


CSVファイルを利用して法定調書を作成する場合は、カンマや外字の取り扱い、濁点や半濁点を含む文字の記録方法などに気をつけてください。
 
e-Taxの基本的な操作方法については、国税庁の「e-Taxソフト(WEB版)ご利用ガイド」を参照してください。


まとめ

今回は、支払調書を書く時のポイントとe-Taxで支払調書を作成する方法を解説しました。
 
支払調書をはじめとした業務上の悩みは、迅速に解消することが重要です。
 
自力で解決できないものについては、専門家に相談し、適切な対応を心掛けてください。
 
また、近年は、書類作成に役立つアプリケーションやシステムが数多く存在しているため、使い方次第では、格段に業務効率を向上させられます。
 
一方で、情報漏洩やウイルス感染など、新規ツールを導入することで生じるリスクもあります。
 
事前にメリットやデメリットを理解した上で活用しましょう。


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