不動産のリース契約は内容の見直しが難しい?リース契約の特徴と見直しのポイント
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はじめに
以前のコラム「建設協力金とは」でまとめた通り、小売業等の借主が、土地の所有者に借主仕様の建物を建ててもらい、その建物を借りて店舗を運営するような方法として「建設協力金」という方法が有ります。土地の所有者からすると、金融機関への借り入れをせずに建物を建設して、完成後すぐに貸し出すことが出来る等、リスクを抑えた運用が可能になるわけですが、土地の所有者がリスクを抑えた運用の出来る方法として、不動産のリース契約というものも存在します。今回はそのリース契約についてまとめてみたいと思います。
不動産のリース契約とは
不動産のリース契約では、多くの場合、リース会社が土地の所有者から土地を借りて、小売業等の借主が求める仕様の建物を建設し、借主へ賃貸する形がとられます。
借主側からすると、建設協力金方式で建物を借りる方法と同様に、建物の建設費用をかけずに自分たちの意向を反映した建物を建ててもらえることや、行政関係の手続きや支出を抑えることが出来る等のメリットが有ります。
土地の所有者としても、建設協力金方式では建物の所有者となってしまうところを、リース会社が所有者となってくれることで、建物に係る各種手続きや固定資産税の負担もなく、土地の賃料を受け取ることが出来るというメリットが有ります。
その為、土地の所有者と借主の間で、建物を建てる為にリース会社に間に入ってもらうというケースが多く存在するわけです。
不動産リース契約の特徴
上記のように、リース会社の存在意義は非常に大きなものがあります。一方、リース会社としてもきちんと収益をあげられるように、建てた物件を賃貸する際の契約には下記のような特徴があります。
- 契約期間:~30年と比較的長期契約となっている。
- 中途解約:リース期間中の解約(中途解約)はできない。解約できる場合には、残償却額、残リース料または残リース料相当額の違約金を支払う等の条件がある。
- 賃料:物件取得代金、借地料、その他の費用が、リース契約期間中に全額回収できるように設定されている。期間中は賃料改定を認めていない場合も多い。
- 契約の更新:リース契約を更新(再リース)することができる。
※更に詳細を知りたい方は下記の記事にまとめておりますので、是非ご確認ください。
不動産リース契約の内容を見直すことはむずかしい?
上記のような背景もあり、一般的な賃貸借契約と比較すると、リース契約の内容を見直すことは非常に難易度の高いものとなります。リース会社としても多額な資金を投資して賃借人仕様の建物を建築して賃貸を行っている為、借主としても中々申し出をしにくいというのも実情であると思われます。
とはいえ、以前のコラム「店舗運営コストが急激に上昇している今、見直しを考えるべきポイント」でまとめた通り、コロナ禍における生活様式の変化、およびウクライナ危機に端を発する急激なインフレ下にある現状においては、少しでも見直せる可能性のあるものは見直しに向けた取り組みを検討することが重要です。
不動産リース契約の内容を見直せる可能性のあるポイント
不動産リース契約について、難易度が高い中でも見直しが出来る可能性のあるポイントを、Pro-Sign運営企業である株式会社プロレド・パートナーズが行ったコンサルティング/調査事例を基に下記にまとめます。
1.借地料の減額
リース会社は土地の所有者から土地を賃借しており、借地料を支払っております。リース会社承諾のもと、借主が土地の所有者とその借地料について協議を行い、借地料の減額が実現した際に、その範囲でリース料の削減に転嫁頂いた事例があります。
2.リース期間の延長
リース会社はリース期間で投資の回収を行うことから、期間満了以降は安く賃貸することがあります。そのため、借主がリース会社と、その契約期間の延長と引き換えにリース料の改定協議を行い、協力を頂けた事例があります。
3.リース会社で発生しているコストの削減提案
プロレド・パートナーズがリース会社自体のコストマネジメントコンサルティング(電気代、保険、施設管理保守コスト等)を行い、大きなコスト削減が実現したため、その範囲でリース料の削減に転嫁頂いた事例があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
不動産リース契約については、その背景から見直しを行うことは非常に難しい一方で、協議の仕方によっては、御協力を頂ける可能性もあります。その為には、現状や過去の経緯も含め定性/定量両面での網羅的な調査が必要です。協議におけるポイントについては、下記にまとめていますので、ご興味をお持ち頂ける方は是非ご確認ください。
また、上記のようなCRE戦略に関する助言やコンサルティングについても、是非お気軽にお問合せください。