不十分な契約書管理で貴方の会社も損しているかも?リスクと正しい方法について解説
目次[非表示]
- 1.契約書管理とは
- 2.契約書管理が重要な理由
- 3.契約書管理の目的は主に2つ
- 4.契約書管理が不十分な場合に起こるリスク
- 4.1.法令違反や契約違反を犯すリスク
- 4.2.情報共有ができなくなるリスク
- 4.3.情報セキュリティが低下するリスク
- 5.契約書管理ができていて効率化できている状態とは
- 5.1.一元管理ができている
- 5.2.項目管理ができている
- 5.3.情報管理ができている
- 5.4.期限管理ができている
- 6.契約書管理のステップ
- 6.1.管理者とルールの策定
- 6.2.契約書管理台帳の作成
- 6.3.契約書の棚卸し
- 6.4.契約書管理台帳・管理ルールの共有
- 7.まとめ
契約書の管理は、どの企業にとっても重要で必要不可欠な作業です。一方、国際契約商業管理協会が発行しているJournal of Contract Managementは、71%もの企業が自社が関わる契約書の10%以上を紛失していると発表しています。
さらに、「日常の基本契約の処理とレビューにかかる企業の平均コストは 6,900 ドルに上昇している」とのこと。
この記事では、契約書管理ができていないときに起こりうるリスクや、管理ができている状態の要素について解説します。
契約書管理とは
契約書は、企業間で発行・作成される文書です。企業の規模や分野に関わらず、日々さまざまな契約書が交わされます。
契約書は、その契約書の種類によって保存期間が定められています。そのため、契約書の締結後は一定期間の保管が必要です。
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契約書管理とは、契約書を適切な形で保管することを指します。
ただ保管をしておくだけではなく、内容の確認が容易にできるシステムの構築も契約書管理に含まれます。
契約書管理が重要な理由
契約書には取引先との契約内容やルール、損害時の保証などさまざまな内容が記載されています。2017年の国際契約商業管理協会(IACCM、現在の World Commerce&Contracting)による調査では、契約管理の不十分さが原因で、多くの損失があると発表されています。
契約管理が十分な企業 |
契約管理が不十分な企業 |
削減割合 |
|
簡易な契約 |
3,800ドル (418,000円) |
6,900ドル (759,000円) |
45% |
中型契約 |
14,000ドル (1,540,000円) |
23,000ドル (2,530,000円) |
39% |
複雑な契約 |
49,000ドル (5,390,000円) |
10万ドル以上 (1,100万円以上) |
50%以上 |
The Cost of a Contract - IACCM research reportをもとに作成
(※)当時の為替相場(1ドル約110円)で計算
上記は契約の難易度別に処理とレビューにかかる平均費用をまとめた調査です。契約書の取扱業務は、顧問弁護士や社内法務担当にかかわらず発生するものです。「削減割合」を見ると、契約管理が十分な企業と不十分な企業との間には、大きな差があることが分かります。
たとえば、100万件だと30億ドルの損失が出ている計算です。
契約書を紛失してしまった場合は、自社にとって不利益な状況に陥る危険性があります。
契約書管理の目的は主に2つ
契約書管理の目的は、主に2つです。
1つ目は、リスクマネジメントです。
契約を交わした際には、いくつもの条件や保証内容が決められます。契約書を正しく管理できていないと、契約書違反が見つかった場合にすぐ確認できません。
2つ目は、業務の効率化です。
契約書を見やすく管理しておくことで、スムーズに業務が進みます。必要な場面ですぐに内容が確認できるように管理をしましょう。
契約書管理が不十分な場合に起こるリスク
ここからは、契約書管理が十分にできていないとき、起こりうる具体的なリスクを解説します。
法令違反や契約違反を犯すリスク
契約書では、契約を交わした相手と守るべきルールを定めて記載されています。契約書の内容を十分に把握できておらず確認もできないと、ルールを知らないうちに違える恐れがあります。特に、契約書に細かい条件が記載されている場合は、状況に合わせて内容の確認が必要です。
契約内容を守れなければクライアントからの信頼を失う危険があり、最悪の場合は法律違反も問われかねません。また、その後の関係性も悪化します。
情報共有ができなくなるリスク
契約書の内容は、ルールを含む場合も多くあります。そのため、担当者や上層部以外の社員もある程度は共有しておかなければなりません。
管理が不十分な場合、情報共有がスムーズにできず契約違反をしてしまう社員が出る恐れもあります。
必要な場面で、すぐに必要な契約書を取り出せる管理が必要です。
情報セキュリティが低下するリスク
契約書には、外部に漏らしてはならない情報が含まれる場合もあります。契約書の管理がおろそかなせいで、契約書の内容やコピーが流出する危険性も考えられるでしょう。
万が一、契約書の情報が外部に漏れる・元本を紛失したなどの失態が発覚したときには、その後の契約継続が危ぶまれます。また、契約書を紛失してしまうような管理しかできない企業として認識される可能性もあります。
社内では閲覧が可能でありながら、同時にコピーや印刷は限定した条件でなければできないような設定が必要です。
契約書管理ができていて効率化できている状態とは
契約書管理ができていて、なおかつ業務の効率化も図れている状態とは、どのような状態でしょうか。
契約書管理が問題ない状態であるかどうかは、以下の要素を満たしているかどうかで確認しましょう。
一元管理ができている
一元管理とは、会社に関するすべての契約書を1か所に集約して、1つのシステムで管理できている状態を指します。
一元管理をすることで、必要な人が必要なタイミングですぐに検索できます。バラバラに保存をしていると、契約書がすぐに取り出せない、すべて揃っているかどうかの確認に時間がかかるなど弊害が多いため、おすすめしません。
契約書をデジタル化・機密情報の保護システムを加えればさらにセキュリティも向上します。
項目管理ができている
項目管理とは、契約書の内容を項目ごとに検索できる管理方法です。
項目の例としては、以下のようなものがあります。
・契約相手
・取引金額
・契約日
・更新期限
・支払いの周期
これらの項目で契約書を分類分けし管理することで、そのときに必要な契約書を瞬時に検索できます。
また、項目ごとに契約内容を確認できるため、契約書の更新忘れや未払いなどの人為的ミスを削減できるでしょう。
情報管理ができている
企業が結ぶ契約は、自社が用意をする基本ベースに合わせて締結をすることが多くあります。しかし、クライアントとの契約内容によっては、その基本ベースからは外れた内容や条件で締結されるものもあります。
項目ごとのデータベース化を行うことで、情報管理を徹底して内容に漏れがないように把握できるでしょう。通常の契約にはない特記事項や懸念事項がある契約書について、個別管理と把握ができていることも重要です。
契約書名や契約当事者・契約期間・重要事項・更新期限などの項目を整理し、的確に管理をしましょう。
期限管理ができている
契約書には、以下のようなさまざまな期限が記載されています。
・契約有効期間の開始日
・契約有効期間の終了日
・自動更新について
・解約の条件や手続き方法
これらの期限は契約書ごとに異なるため、すべてを管理しておきましょう。
期限管理ができていないと、契約の更新忘れや法的トラブルが起こる可能性もあります。契約の有効期限と期限が近づいた際にわかるようなシステム作りができていれば、契約書管理はできているといえるでしょう。
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契約書管理のステップ
契約書管理を徹底するためのステップを解説します。
以下の手順で情報を整理して、契約書管理を進めましょう。
管理者とルールの策定
契約書管理を始めるときには、管理者とルール制定を行いましょう。
契約書管理を行う際には、最初に部門と責任者を決めます。もちろん、社員全員が契約書の内容を確認できて把握することは大切です。しかし、契約書閲覧の権限や管理方法についての責任者を決める必要があります。
契約書の管理に関する、伝達方法・保管方法・破棄のタイミングなどは担当部署で共有をします。
また、契約書の電子化や元本の保管方法など、管理保管の方法も決めましょう。
契約書管理台帳の作成
契約管理台帳とは、契約書の項目内容を記した台帳です。
契約書管理台帳には、一例として以下の項目を記載します。
・契約名
・契約の管理番号
・クライアントの情報
・社内の担当者
・契約締結日
・契約終了日
・原本の保管場所
契約書管理台帳は、専用ソフトかExcelなどで作成して保管をしましょう。社内でテンプレートを決めて管理することで、情報の管理を統一でき、検索しやすくなります。
契約書の棚卸し
用意した契約書管理台帳に、契約書を1件ずつ入力します。企業の規模や契約の件数によっては、入力の量が膨大になります。数値や契約日に間違いがないように、慎重に記入しましょう。
契約書管理台帳の記録できた契約書は、ファイリングします。ファイリングする原本は、ファイルの検索性も考えて保管方法を考えておくと、いざというときにすぐ取り出せます。すでに保管期限・契約期限が過ぎている契約書は破棄も考えましょう。
契約書管理台帳・管理ルールの共有
契約管理に関する社内規程を定めたあと、そのルールを社内全体に共有しましょう。
ただメールやチャットで共有するだけでなく、研修もあわせて実施して共有することで社内全体にその重要性が伝わります。
契約締結から管理台帳への記載、ファイリングまでのルールを作成し社内で共有して、社員誰もがその作業をできるようにしましょう。
電子保存をする場合は、その手順も共有化する必要があります。
まとめ
契約書管理について、管理が不十分だったときに起こりうるリスクと契約書管理のステップを解説しました。
契約書管理は、どの会社にも必要不可欠です。適切に分類分けをして契約書を保管することで、人為的なミスや漏れを防ぎます。
適切な順序と方法で、契約書を管理しましょう。