catch-img

【2026年最新】新リース会計基準はいつから適用?基準確定後の最新情報と不動産賃貸借契約への影響

2023年5月に公開草案として公表された新リース会計基準は、その後のコメント募集と審議を経て、2024年9月13日に企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」等として正式に公表されました。

これにより、借手側では、従来のようにファイナンス・リースとオペレーティング・リースを分けて考えるのではなく、原則としてすべてのリースについて使用権資産とリース負債を計上する考え方が導入されます。

特に、不動産賃貸借契約を多数保有する多店舗展開企業にとっては、契約書上の期間だけでなく、更新・解約オプション、改装投資、退店可能性、店舗の重要性などを踏まえた判断が求められる点が重要です。

この記事では、新リース会計基準の基準確定後の最新情報と、不動産賃貸借契約管理に与える影響、そして企業が今から準備すべき契約情報について解説します。

新リース会計基準は正式に確定済み

新リース会計基準は、2024年9月13日にASBJ(企業会計基準委員会)から正式に公表されました。主な公表物には、企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」と、企業会計基準適用指針第33号「リースに関する会計基準の適用指針」があります。

その後、2025年4月23日には企業会計基準第34号および適用指針第33号について修正が行われています。ただし、この修正は、会計処理および開示に関する定めを実質的に変更するものではないとされています。

したがって、これから対応を進める企業は、公開草案ではなく、正式公表後の基準および修正版の適用指針を前提に準備を進める必要があります。

項目

内容

正式公表日

2024年9月13日

主な基準

企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」

主な適用指針

企業会計基準適用指針第33号「リースに関する会計基準の適用指針」

2025年の修正

2025年4月23日に修正。ただし、会計処理および開示に関する定めを実質的に変更するものではないとされています。

適用時期はいつからか

新リース会計基準は、2027年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から適用されます。また、2025年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から早期適用することも可能です。

たとえば3月決算企業の場合、原則適用は2028年3月期からとなります。一方、早期適用を選択する場合は、2026年3月期からの適用が可能です。

区分

適用時期

原則適用

2027年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から

早期適用

2025年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から可能

3月決算企業の例

原則適用は2028年3月期から。早期適用する場合は2026年3月期から可能。

適用開始までにはまだ一定の期間がありますが、不動産賃貸借契約を多数保有する企業では、契約情報の収集・整理・判断方針の検討に時間がかかることが想定されます。

新リース会計基準で大きく変わる借手の会計処理

新リース会計基準の大きなポイントは、借手側において、原則としてすべてのリースについて使用権資産とリース負債を計上する点です。

従来は、オペレーティング・リースについては貸借対照表に資産・負債を計上しない処理が一般的でした。しかし、新基準では、リースにより使用する権利を資産として、将来支払うリース料を負債として認識する考え方が採用されています。

これにより、不動産賃貸借契約を多数保有する企業では、これまで会計上は費用処理されていた契約についても、資産・負債計上の対象となる可能性があります。

不動産賃貸借契約で特に重要になる「リース期間」

不動産賃貸借契約において特に重要になるのが、リース期間の判断です。

リース期間は、単に契約書に記載された契約期間だけで決まるわけではありません。解約不能期間に加えて、借手が行使することが合理的に確実な延長オプション期間や、行使しないことが合理的に確実な解約オプション期間を含めて判断する必要があります。

たとえば、契約書上は2年契約であっても、出店時に多額の内装投資を行っており、事業上も長期利用が前提となっている場合には、単純に2年だけをリース期間と見ることが適切とは限りません。

● 「合理的に確実」の判断で確認すべき要素

延長オプションを行使するか、または解約オプションを行使しないかを判断する際には、経済的インセンティブを生じさせる要因を総合的に検討する必要があります。

確認項目

確認する内容

契約条件

更新時の賃料、契約期間、解約条件、違約金など

賃借設備の改良

内装工事、造作、設備投資など、退店時に回収しにくい投資の有無

解約関連コスト

中途解約違約金、原状回復費用、移転費用、閉店コストなど

原資産の重要性

店舗・拠点が事業上どの程度重要か、代替物件があるか

オプション行使条件

更新・解約にあたって必要な通知、承諾、条件など

これらの情報は、契約書だけで完結しないことも少なくありません。店舗開発部門、法務部門、経理部門、事業部門などに分散している情報を集め、契約ごとに判断できる状態にしておく必要があります。

少額リースの取扱いも確認が必要

新リース会計基準では、一定の短期リースや少額リースについて、使用権資産およびリース負債を計上せず、リース料を費用処理できる簡便的な取扱いが認められています。

ただし、少額リースに該当するかどうかを判断するためには、契約単位、対象資産、契約金額、リース期間、維持管理費用相当額などを整理する必要があります。

店舗や事務所などの主要な不動産賃貸借契約が少額リースに該当するケースは限定的と考えられますが、借上社宅、小規模倉庫、短期利用スペース、簡易な拠点契約などについては、確認対象になる可能性があります。

多店舗展開企業では、契約情報の分散が大きな課題になる

新リース会計基準への対応では、会計処理の計算そのものだけでなく、その前提となる契約情報の整理が重要です。

多店舗展開企業では、店舗ごとに契約条件が異なり、契約書の保管場所や更新履歴の管理方法も統一されていないケースがあります。賃料や契約期間は把握できていても、解約予告期間、更新条項、原状回復義務、改装投資、退店予定などが別々の部門に分散していることもあります。

その結果、リース期間の判断、使用権資産・リース負債の算定、監査対応、注記情報の作成に時間がかかる可能性があります。

● 整理しておきたい契約情報

  • 契約開始日・契約終了日
  • 更新条項・自動更新の有無
  • 中途解約条項・解約予告期間
  • 違約金・原状回復義務
  • 固定賃料・変動賃料・共益費等の内訳
  • 敷金・保証金・建設協力金等
  • 改装投資・造作・賃借設備の状況
  • 店舗の売上・利益・戦略的重要性
  • 退店予定・移転予定・再契約方針

これらの情報を契約ごとに整理しておくことで、会計上の判断だけでなく、店舗戦略や投資回収、退店判断にも活用しやすくなります。

基準確定後に企業が進めるべき対応

新リース会計基準はすでに正式基準として公表されています。これからの対応では、公開草案の内容を確認する段階から、確定した基準を前提に自社の契約情報を整備する段階へ移る必要があります。

特に、不動産賃貸借契約を多数保有する企業では、次のような順番で対応を進めることが考えられます。

ステップ

対応内容

1. 契約の棚卸し

不動産賃貸借契約、倉庫、社宅、設備利用契約など、リースに該当する可能性のある契約を洗い出します。

2. 契約情報の台帳化

契約期間、賃料、更新・解約条項、敷金・保証金などを契約ごとに整理します。

3. リース期間の判断

延長オプションや解約オプションについて、合理的に確実かどうかを検討します。

4. 会計データ化

使用権資産・リース負債の算定に必要な情報を会計に使える形式で整理します。

5. 継続管理

契約更新、賃料改定、解約、店舗改装などの変更を継続的に反映できる体制を整えます。

新リース会計対応は、契約管理を見直すきっかけにもなる

新リース会計基準への対応は、単なる会計基準変更への対応にとどまりません。

不動産賃貸借契約をはじめとする各種契約を、会計に使えるデータとして整理し、契約変更や更新、退店、改装投資などの情報とつなげて管理することが求められます。

契約書を保管するだけでは、リース期間の判断やリース負債の算定には十分ではありません。契約内容を構造化し、必要な情報を必要なタイミングで確認できる状態にしておくことが重要です。

特に多店舗展開企業では、店舗ごとの契約条件や更新状況を横断的に把握できるかどうかが、実務負担を大きく左右します。

まとめ

新リース会計基準は、2024年9月13日に正式公表され、2027年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から原則適用されます。2025年以降には修正も行われていますが、会計処理および開示に関する定めを実質的に変更するものではないとされています。

これから企業が行うべきことは、草案段階の情報を確認することではなく、確定した基準と最新の適用指針を前提に、自社の契約情報を整理し、会計判断に必要なデータを継続的に管理できる状態をつくることです。

不動産賃貸借契約を多数保有する企業では、リース期間、更新・解約オプション、改装投資、退店可能性、店舗の重要性などを横断的に把握する必要があります。新リース会計対応をきっかけに、契約管理そのものを見直すことが重要です。

Pro-Signの新リース会計対応について

Pro-Signでは、不動産賃貸借契約の契約期間、更新・解約条件、賃料、敷金・保証金、契約変更履歴などを一元管理し、多店舗展開企業の新リース会計基準対応に必要な契約情報の整理を支援します。

資料をダウンロードする →

ご利用にあたって

本記事は、新リース会計基準に関する一般的な情報提供を目的としたものです。
最終的な会計判断は、各社の会計方針および監査法人等との協議に基づき行う必要があります。

参考:企業会計基準委員会「企業会計基準第34号『リースに関する会計基準』等の公表」

無料ダウンロード
新リース会計の概要と、必要な取り組みまとめ
2027年4月の強制適用に向けて、お役立ち資料を無料で配布中。

おすすめの資料

人気記事ランキング

カテゴリ一覧

タグ一覧