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【2026年最新】新リース会計基準の例外措置とは?10%基準・短期リース・少額リースの簡便法を解説

新リース会計基準では、借手のリースについて、原則として使用権資産とリース負債を計上する考え方が採用されています。

ただし、すべての契約について同じ負荷で会計処理を行うことは、実務上大きな負担になります。そのため、一定の条件を満たす場合には、簡便的な取扱いが認められています。

特に混同しやすいのが、「使用権資産総額の重要性が乏しい場合」の10%基準と、「短期リース」「少額リース」の取扱いです。

この記事では、新リース会計基準における例外措置について、10%基準、短期リース、少額リースの違いを整理しながら、多店舗展開企業が実務上確認すべきポイントを解説します。

新リース会計基準における簡便法は3つに分けて考える

新リース会計基準の例外措置を理解するうえでは、まず「会社全体で判断するもの」と「個別契約・個別資産ごとに判断するもの」を分けて考えることが重要です。

区分

判断単位

主な基準

会計処理のイメージ

使用権資産総額の重要性が乏しい場合

企業全体

10%未満

使用権資産・リース負債は計上したうえで、利息相当額の計算等を簡便化

短期リース

原資産のグループ等

借手のリース期間が12か月以内、かつ購入オプションを含まない

使用権資産・リース負債を計上せず、リース料を費用処理できる

少額リース

契約・原資産単位等

300万円基準、新品時5千米ドル程度、または自社の少額資産処理基準など

使用権資産・リース負債を計上せず、リース料を費用処理できる

つまり、10%基準は「企業全体の使用権資産総額に重要性が乏しいか」を見るものです。一方で、短期リースや少額リースは、個別の契約や原資産の単位で、オンバランス処理の対象外とできるかを判断するものです。

「使用権資産総額の重要性が乏しい」とは

「使用権資産総額の重要性が乏しい」とは、企業全体で見たときに、リース契約による使用権資産の規模が、財務諸表全体に与える影響として大きくないと考えられる場合を指します。

適用指針では、未経過の借手のリース料の期末残高が、当該期末残高、有形固定資産および無形固定資産の期末残高の合計額に占める割合が10%未満である場合とされています。

10%基準のイメージ

未経過の借手のリース料の期末残高 ÷ (未経過の借手のリース料の期末残高 + 有形固定資産の期末残高 + 無形固定資産の期末残高) < 10%

ここで重要なのは、この10%基準は、個別契約ごとに「この契約は重要性が乏しい」と判断するものではないという点です。あくまで企業全体の使用権資産総額に対する判断です。

また、短期リースや少額リースとして使用権資産およびリース負債を計上しない取扱いを適用したものがある場合など、10%基準の算定にあたっては、会計方針に応じた整理が必要になります。

10%基準で認められる簡便法

使用権資産総額に重要性が乏しいと認められる場合には、利息相当額の計算や配分について、次のような簡便法を適用できます。

簡便法

内容

利息相当額を控除しない方法

借手のリース料から利息相当額の合理的な見積額を控除せず、使用権資産およびリース負債を借手のリース料で計上します。この場合、支払利息は計上せず、減価償却費のみを計上します。

利息相当額を定額法で配分する方法

利息相当額の総額を、借手のリース期間中の各期に定額法で配分します。利息法による複雑な計算を簡略化できる点が特徴です。

ここで注意したいのは、10%基準の簡便法は、使用権資産やリース負債を計上しなくてよい制度ではないという点です。

使用権資産総額に重要性が乏しい場合でも、原則として使用権資産およびリース負債は計上します。そのうえで、利息相当額の計算や配分を簡便化できる、という位置づけです。

短期リースの最新整理

短期リースとは、リース開始日において、借手のリース期間が12か月以内であり、購入オプションを含まないリースをいいます。

短期リースに該当する場合、借手は、リース開始日に使用権資産およびリース負債を計上せず、借手のリース料を借手のリース期間にわたって、原則として定額法により費用として計上できます。

確認項目

確認する内容

リース期間

借手のリース期間が12か月以内か

購入オプション

購入オプションを含んでいないか

判断単位

対応する原資産を自ら所有していたと仮定した場合の科目ごと、または性質・用途が類似する原資産のグループごとに適用するかを選択

なお、契約書上の契約期間が12か月以内であっても、延長オプションの行使が合理的に確実である場合などには、借手のリース期間が12か月を超える可能性があります。

そのため、単に契約書上の期間だけで判断するのではなく、更新や延長の実態、事業上の利用見込みも確認する必要があります。

少額リースの最新整理

少額リースについても、一定の条件を満たす場合には、使用権資産およびリース負債を計上せず、リース料を費用処理できる簡便的な取扱いが認められています。

少額リースの取扱いは、ひとつの基準だけで判断するものではありません。主に次の考え方を整理しておく必要があります。

少額リースの考え方

内容

自社の少額資産処理基準

重要性が乏しい減価償却資産について、購入時に費用処理する方法を採用している場合、その基準額以下のリースが対象になります。基準額は、利息相当額だけ高めに設定することもできます。

300万円基準

企業の事業内容に照らして重要性の乏しいリースで、リース契約1件あたりのリース料総額が300万円以下であるかどうかにより判定する考え方が踏襲されています。

新品時5千米ドル程度

IFRS第16号の考え方に沿い、新品時の原資産の価値が少額であるリースとして、5千米ドル以下程度の価値の原資産が念頭に置かれています。

300万円基準については、「リース契約1件あたりの金額」に着目する点がポイントです。ただし、1つのリース契約に科目の異なる有形固定資産または無形固定資産が含まれている場合には、異なる科目ごとに合計金額で判定できるとされています。

また、300万円基準に該当するかを判断する際の対象期間は、原則として借手のリース期間です。ただし、実務負担への配慮から、借手のリース期間に代えて契約上定められた期間を用いることもできます。

さらに、リース契約1件あたりの金額を算定する際には、維持管理費用相当額の合理的な見積額を控除できる点も確認しておく必要があります。

● 「少額リース=300万円以下」だけではない

実務上は「少額リース=300万円以下」と理解されることがありますが、新リース会計基準では、それだけで整理すると不十分です。

自社の少額資産処理基準、300万円基準、新品時5千米ドル程度の原資産という複数の考え方があり、どの方法を採用するか、どの単位で判定するか、首尾一貫して適用できるかを確認する必要があります。

とくに、契約書上は1契約であっても、複数の原資産やサービスが含まれている場合には、リースを構成する部分、維持管理費用、サービス部分などを整理しなければ、正しく判定できない可能性があります。

10%基準と短期・少額リースの違い

10%基準、短期リース、少額リースは、いずれも実務負担を軽減するための取扱いですが、会計処理上の意味は異なります。

比較項目

10%基準

短期・少額リース

判断単位

企業全体

契約、原資産、原資産グループなど

使用権資産・リース負債

計上する

計上しない取扱いが可能

簡便化される内容

利息相当額の計算・配分

オンバランス処理そのもの

代表的な閾値

10%未満

12か月以内、300万円以下、新品時5千米ドル程度など

この違いを整理せずに「例外措置」と一括りにしてしまうと、オンバランス処理の要否や、利息計算の方法を誤って判断する可能性があります。

多店舗展開企業では、簡便法が使えるかどうかの判断にも準備が必要

多店舗展開企業では、不動産賃貸借契約が多数存在するため、使用権資産総額が大きくなりやすい傾向があります。そのため、10%基準による簡便法を適用できるかどうかは、慎重に確認する必要があります。

また、店舗や事務所などの主要な不動産賃貸借契約が、短期リースや少額リースに該当するケースは限定的と考えられます。

一方で、借上社宅、小規模倉庫、短期利用スペース、事務機器、少額の設備利用契約などは、短期リースや少額リースの確認対象になる可能性があります。

したがって、簡便法が使えるかどうかを判断するためにも、まずは契約情報を網羅的に整理し、会計判断に使える状態にしておくことが重要です。

● 確認しておきたい契約情報

  • 契約開始日・契約終了日
  • 借手のリース期間
  • 延長オプション・解約オプションの有無
  • 購入オプションの有無
  • リース料総額
  • 維持管理費用相当額
  • 契約に含まれる原資産の単位
  • 有形固定資産・無形固定資産の科目
  • 短期・少額リースとして費用処理する方針の有無

特に、契約書に記載されている支払金額の中に、賃料、共益費、維持管理費、サービス費用などが含まれている場合には、会計上どの部分をリース料として扱うかを整理する必要があります。

簡便法を使うためにも、契約情報のデータベース化が重要

10%基準や短期・少額リースの取扱いは、実務負担を軽減するための制度です。しかし、簡便法を使うためには、そもそも自社の契約情報を正しく把握できている必要があります。

契約書が部門ごとに分散していたり、更新・解約条件や賃料内訳が台帳化されていなかったりすると、簡便法を適用できるかどうかの判断にも時間がかかります。

特に多店舗展開企業では、店舗ごとに契約条件が異なり、更新履歴や賃料改定、解約予告期間、原状回復義務などの情報も分散しやすくなります。

新リース会計基準への対応では、会計計算の前に、契約情報を会計に使えるデータとして整理することが第一歩になります。

まとめ

新リース会計基準における例外措置は、10%基準、短期リース、少額リースに分けて整理する必要があります。

使用権資産総額の重要性が乏しい場合の10%基準は、企業全体の使用権資産総額に対する判断であり、使用権資産やリース負債の計上を免除するものではありません。あくまで利息相当額の計算や配分を簡便化する取扱いです。

一方、短期リースや少額リースは、一定の条件を満たす場合に、使用権資産およびリース負債を計上せず、リース料を費用処理できる取扱いです。短期リースは12か月以内かつ購入オプションを含まないこと、少額リースは300万円基準や新品時5千米ドル程度、自社の少額資産処理基準などを確認する必要があります。

簡便法は実務負担を軽減するための制度ですが、適用可否を判断するためには、契約の棚卸し、リース識別、リース期間の整理、リース料総額や維持管理費用の把握が不可欠です。新リース会計対応を進めるうえでは、契約情報を一元管理し、会計判断に使える状態にしておくことが重要です。

Pro-Signの新リース会計対応について

Pro-Signでは、不動産賃貸借契約の契約期間、更新・解約条件、賃料、敷金・保証金、契約変更履歴などを一元管理し、多店舗展開企業の新リース会計基準対応に必要な契約情報の整理を支援します。

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ご利用にあたって

本記事は、新リース会計基準に関する一般的な情報提供を目的としたものです。
最終的な会計判断は、各社の会計方針および監査法人等との協議に基づき行う必要があります。

参考:企業会計基準委員会「企業会計基準適用指針第33号『リースに関する会計基準の適用指針』」「企業会計基準第34号『リースに関する会計基準』」

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