残置物で大きな損害を被るのは誰?過去の事例を踏まえトラブル防止策を解説

残置物とは、前賃借人が退去時に残した物品のことです。発生した時点はもちろんのこと、居抜き物件として新賃借人に貸す際にも、残置物はさまざまなトラブルの原因になります。

そして残置物が原因で賃借人との間でトラブルになった場合、貸主が大きな損害を被る可能性が高いのが実情です。貸主が身を守るためには、残置物に関する知識を身につけ、残置物による被害の防衛策を講じることが重要です。


そこで本コラムでは、残置物とは何かについて解説すると共に、残置物が引き起こすトラブルの事例、またトラブルを未然に防ぐ方法について、過去の事例を元に検証します。


目次[非表示]

  1. 1.残置物とは? 
    1. 1.1.1.貸主に無断で残した物品
    2. 1.2.2.貸主の了承を得て残置した物品
  2. 2.残置物がトラブルにつながる4つのケース
    1. 2.1.1.所有権
    2. 2.2.2.残置物の撤去にかかる費用負担
    3. 2.3.3.補償にかかる費用負担
    4. 2.4.4.原状回復の範囲
  3. 3.残置物をめぐるトラブルの事例
  4. 4.残置物によるトラブルを未然に防ぐ4つの方法
    1. 4.1.1.退去時の立ち合いを必ず実施する
    2. 4.2.2.貸主所有の設備をリストアップする
    3. 4.3.3.造作譲渡契約を締結する
    4. 4.4.4.無断の増改築には罰則を設ける
  5. 5.まとめ


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残置物とは? 

「残置物」の読み方は「ざんちぶつ」と読みます。

前賃借人が退去する際に残した設備や備品のことで、主に次の2パターンがあります。

  1. 前賃借人が貸主に無断で残した残置物
  2. 貸主の了承を得ている残置物


両者では、所有権の帰属先が異なります。そして所有権の所在が、トラブルの根幹です。残置物の種類によって異なる所有権の帰属先をまとめたものが、下の表です。


無断の残置物
貸主の了承を得た残置物
前賃借人の退去後の所有権
前賃借人
貸主

新しく賃借契約した場合

前賃借人
所有権は新賃借人に移行
残置物の修理等に関する費用負担
前賃借人
新賃借人


什器類を残置している時点で、前賃借人が権利を放棄したように感じられるでしょう。しかし、法的な所有権は前賃借人に帰属します。物件の貸主が、前賃借人に無断で処分することは許されません。

また居抜き物件等で残置物を残したまま次の賃借人に貸し出す際も、入居契約の段階であらかじめ細部まで取り決めしないと、修繕等の補償を巡ってトラブルに発展することがあります。


1.貸主に無断で残した物品

賃貸契約を締結する際、ほとんどすべてのケースで原状回復を約束します。賃借人が契約を遵守していれば、残置物が発生する余地はありません。

しかし現実には、不用品や廃棄物の処理費用等の兼ね合いもあり、備品を残置したまま賃借人が退去するケースは多々あります。契約終了の告知もなく賃借人が行方不明になる、いわゆる「夜逃げ」が原因のケースもあるでしょう。

この時に残置された設備や備品が、残置物です。賃借契約を締結した段階で、すでに貸主が設置していた設備や備品は、あくまでも物件に付随する設備ですから、残置物ではありません。


前賃借人が厨房設備や棚、ダクト、空調設備等を増設もしくは改装していることもありますが、設備については、ほとんどのケースで、契約時に貸主に無断での増設や改装を禁止します。また貸主の許可を得て増設や改装した際も、退去時には原状回復する旨の条項を設けて許可するのが一般的です。

ただ、飲食店などのテナントが退去せざるを得ない状況にある場合、経営状態の悪化が原因であるケースが多く、撤去費用を捻出できないことも珍しくありません。貸主に相談もなく無断で残置して退去した場合、これらはみな残置物です。


そして法的には、残置物の所有権は前賃借人にあります。貸主が所有する物件や設備で発生していても、残置物の所有者である前賃借人に無断で処分等の対応はできません。


2.貸主の了承を得て残置した物品

もうひとつの残置物は、貸主の合意を得ている設備や備品です。

例えば、中華料理店を開店するにあたって、より強力な空調設備に改装したい旨、賃借人から申し出があったとします。工事内容等を吟味した結果、改装の許可を出し、さらに退去時にも残置してよいと貸主が許可したケースが、これにあたります。


この場合、契約期間中の所有権は、賃借人に帰属します。しかし退去時点で残置物とする場合、賃借人の権利放棄により貸主に所有権が移行するため、居抜き物件として次の賃借人に貸すことが可能です。

ただし、なんら問題ないように思える一連の流れですが、権利について契約書面にしないとトラブルの原因になる可能性があるため、注意が必要です。


残置物がトラブルにつながる4つのケース

残置物でトラブルになるのは、次の4点です。

  1. 所有権
  2. 残置物の撤去にかかる費用負担
  3. 補償にかかる費用負担
  4. 原状回復の範囲


1.所有権

残置物の所有権が原因でトラブルになるのは、前賃借人が無断で設備や備品を残置して退去した場合です。

客観的に見れば、残置物になっている時点で、前賃借人が所有権を放棄したように見えます。しかし法的な所有権は前賃借人にあり、物件の貸主が残置物を独断で処分することは許されません。勝手に残置物を処分すると器物損壊罪(刑法261条)等に問われる可能性があります。また、民事上の損害賠償義務の発生原因にもなりえます。

(器物損壊等)

第二百六十一条

前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

引用元:e-GOV法令検索 明治四十年法律第四十五号 刑法


例えば設備の状態が良い場合、前賃借人が権利放棄の意思を表明していれば、居抜き物件として新賃借人を探せます。

しかし無断で設備や備品を残置して退去している場合は、面倒です。前賃借人が残置物を処分するまで、次の賃借人に物件を貸せません。前賃借人に対して、撤去もしくは所有権の譲渡を求める必要があります。

しかし前賃借人が対応しない場合、または居場所がわからない場合は、訴訟を検討する必要もあるでしょう。裁判になれば、膨大な時間と労力、そしてコストがかかります。


残置物処分の強制執行を裁判所に求める場合、民法執行法第22条に定められた債務名義が必要です。債務名義とは、強制執行を申し立てる際に必要となる文書を意味します。債務名義がないと、貸主は残置物を処分できません。

前賃借人が行方不明の場合は、公示送達という方法をとります。公示送達とは2週間にわたって、訴状を交付する旨を裁判所の掲示板に掲示する方法です。前賃借人に訴状を送付できないため、訴訟を起こした貸主の意向を掲示して示します。


裁判になれば、費用がかかります。弁護士の相談費用や裁判費用、新たな賃貸借契約を締結できないことに付随する損害賠償の請求もしたいと考える方は多いでしょう。しかしほとんどの判決で裁判に伴う印紙代等は請求できても、弁護士費用を前賃借人に求めることはしない判例が多いのが実情です(高知地裁昭和58年9月5日判決等)。


残置物を発生させて行方不明になる場合、経営悪化で資産を保有していない可能性があります。貸主が勝訴しても、前賃借人の経済力次第では十分な対応がなされないこともあるでしょう。それ以前に、裁判所から前賃借人に有利な裁定が下されることもないとは言い切れません。

無断の残置物が発生すれば、裁判を起こしても補いきれないほどの大きな損失を、貸主が一方的に被る可能性が高い点は、念頭におくべきでしょう。無断の残置物は、未然に防がなければなりません。


2.残置物の撤去にかかる費用負担

事業用物件は、契約期間内に原状回復することが契約で定められています。原状回復が完了しない場合、賃借人は物件の返還ができません。さらに、原状回復が完了するまで賃料の支払い義務が発生します。

(解除の効果)

第五百四十五条

当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。

引用元:e-Gov 民法


しかし前賃借人が経済的理由等から残置物の権利を放棄し、残置物の処分を貸主が負うケースもあるでしょう。この場合、貸主には大きな費用がのしかかります。


凡そのイメージでは、下記が目安の水準となります。

  • アパレル店舗:5~10万円/坪
  • 飲食店舗:15~30万円/坪


小規模な店舗でも、数十万円の費用がかかります。店舗規模が大きくなれば、数百万円規模の費用を投じることになりかねません。

しかし居抜き物件として次の賃借人に貸し出せないほどの状態が悪い残置物の場合、費用をかけてでも撤去しなければ、損失が増大します。

こういったリスクを考慮すると、賃貸契約期間中の増設や改装については、慎重な対応が必要です。


3.補償にかかる費用負担

まだ使用できる設備や備品を、貸主の許可を得て残置物とした場合は、所有権は一旦貸主に移行します。その後、新賃借人と契約する段階で、残置物の所有権と管理義務の所在を明確にしないとトラブルの原因になります。

例えば、状態がよさそうに思われた残置物を設備の一部として新賃借人に貸与したものの、間もなく故障が発生。点検を実施したところ、大規模修繕もしくは交換が必要であることが判明した場合が、これに当たります。


居抜き物件の場合、前賃借人の残置物や壁・床の汚れなども含めて、新賃借人が借受け、適切に管理するのが一般的です。万が一にも残置物であった設備に不具合が生じれば、その修理・補填も新賃借人が実施します。

しかし前賃借人の残置物で、どのような管理がおこなわれてきたかわからないまま貸主が譲り受け、貸主が所有する物件に付帯する設備の一部として新賃借人に賃貸している以上、所有者は貸主です。


賃貸契約中に発生した故障等に際して、貸主と新賃借人のどちらがどの程度の責任を負うかを契約書面に明記していない場合、新賃借人が修繕費用の負担を貸主に求めた場合、貸主に支払い義務が生じる可能性は十分にあります。

契約を締結する段階で、修理や撤去にかかる費用も新賃借人が負担することを明記することが重要です。


4.原状回復の範囲

賃貸借契約を締結する時点で、退去時の原状回復も踏まえた契約条項を織り込むことが重要です。特に居抜き物件の場合、原状回復の義務の範囲を明確に定めないと、費用負担を巡ってトラブルになります。

例えば、前賃借人の残置物で、まだ使用できると貸主が判断したため新賃借人に貸与した設備が、すぐに故障しほとんど使用できない状態であった場合、新賃借人が修理等をせず、そのまま物件を返還することも考えられます。


貸主の立場で考えれば、残置物として貸与した以上、新賃借人が管理責任および原状回復をおこなうのが妥当です。また居抜き物件の場合、貸与する物件およびそれに付随するすべての設備の保全を、賃借人の義務とすることが一般的です。当然貸主には、前賃借人の残置物も含めて原状回復するよう求める権利があります。


しかし前賃借人の残置物の修繕等にかかる費用負担の割合について、契約書面にしていない場合、賃借人が費用負担を拒否すれば、訴訟を伴うトラブルに発展しかねません。


残置物をめぐるトラブルの事例

東京高判平成3年1月19日、判例時報1376号64頁の事例を紹介します。

本件の概要は以下の通りです。

  • 飲食店として使用されていた物件
  • 賃借料の支払いが遅延
  • 賃貸借契約は終了
  • 営業を継続しており、什器備品は残された状態


クラブとして営業していた物件において、長期間にわたる賃料の滞納が発生している最中に、本物件の所有者である貸主が別の貸主に所有権を譲渡し、貸主が変更になりました。そして新しい貸主は賃料の滞納を理由に、貸借人との賃貸借契約を解除しています。

しかし物件の明渡はなされず、さらに依然として滞納が解消される気配がないことから、新貸主は賃借人に無断で営業中の店舗に施錠。さらに店内に残されていたすべての什器を残置物して、搬出および売却処分しました。もちろん残置物の搬出や売却に、賃借人は同意していません。


ただ賃貸借契約の書面上には、賃貸借契約が終了した場合について、以下のように取り決める旨の記載がなされています。

  • 貸借人は直ちに本件建物を明渡さなければならない
  • 貸主の指定する期限内に什器等を搬出しないときは、貸主が処分する


新貸主の立場では、賃料滞納により契約解除されているにもかかわらず営業を継続し、残置物を搬出しないことに対して、契約書面に則った適切な対応を講じたにすぎません。しかし本裁判での判決は、新貸主に対して厳しいものでした。


まず判決の中で前貸借人は、早急に物件の明渡すよう求められています。

一方、新貸主は、店舗に施錠し、かつ残置物を無断で処分したことに対する違法性を問われ、弁済を求められています。具体的には、古物商に売却した際に受領した残置物の代金である10万3000円を、前貸借人に支払わなければならないというものです。


判決の根拠は、次のとおりです。

  • 賃料の滞納により契約終了しているが、貸借人は店舗営業中であった
  • 営業中の店舗に勝手に施錠した新貸主の行為は、貸借人の権利を著しく侵害するものである
  • 店内什器は貸借人の所有物であり、契約書の効力は及ばない
  • 勝手に残置物として売却処分した新貸主の行為は、違法である
  • 新貸主は、不当に得た什器類の売却金額を、貸借人に返還すべきである


つまり、契約書面に記載された貸主を保護する条項よりも、貸借人の権利の保護が優先された判決です。


確かに、貸借人が立ち入れないように物件に施錠し、無断で店内什器を残置物として古物商に売却した貸主の行為は、前貸借人の権利を著しく侵害するものでしょう。ただ家賃滞納、残置物の放置、さらに古物商に不用品の処分を依頼した際の費用と、貸主が損失を被ったことに伴う、やむを得ない対応であったとも考えられます。

しかし賃料の滞納があっても、残置物の所有権は前賃借人に帰属します。残置物によって物件を不当に占有し続けている状態であっても、物件の不当占拠や滞納と残置物の取り扱いについては切り分けて考えなければならないというのが、法に則った見方です。


また本裁判は前貸借人が原告であることから、判決内容に、物件の明渡や滞納家賃の支払い期日についての定めはありません。いつ次の賃借人に賃貸できる状態が整うか、また滞納家賃がいつ完済されるかは、前貸借人次第です。残置物によってもたらされた貸主の負う損失は、計り知れません。


例えば本件であれば、貸主にできる対応は次の2点であったと判断できます。

  • 滞納家賃の支払い請求
  • 残置物の撤去を求める強制執行の請求


ただし前賃借人が求めに応じない場合や支払い能力がない場合、貸主はさらなる不利益を被る可能性も考えられるので、慎重な対応が必要です。


残置物によるトラブルを未然に防ぐ4つの方法

残置物が発生すれば、さまざまなトラブルの火種になります。残置物の発生を未然に防ぐ対策を講じることが、トラブルを回避するために重要です。

また所有権を譲渡しての残置物についても、新賃借人との間で契約事項を明確にする必要があります。

  1. 退去時の立ち合いを必ず実施する
  2. 貸主所有の設備をリストアップする
  3. 造作譲渡契約を締結する
  4. 無断での増改築には罰則を設ける


1.退去時の立ち合いを必ず実施する

退去時の立ち合いを必ず実施する際は、残置物がないことを確認するまで、鍵は受け取らないでください。鍵を受け取ることは、物件の返還を容認したことと同義です。賃借人が設置した設備や物品が撤去され、原状回復が完了していることを確認するまで、退去手続きは完了しません。

提携している産業廃棄物の回収業者や設備工事の業者があれば紹介し、原状回復について相談することを提案するのもよいでしょう。


また、賃借人の退去が決まったら、こまめに退去準備の状況を確認するために出向くことも重要です。貸主が常に目を光らせていることを賃借人に印象付けることは、抑止力の一つとして機能します。

残置物を発生させたまま賃借人が行方不明になる事態を回避するために、こまめに賃借人と接点を持つことが大切です。


2.貸主所有の設備をリストアップする

賃貸借契約を締結する前に、物件と共に貸与する設備や備品について、その詳細を具体的にリストアップしてください。

この時、それぞれの設備や備品について、修理や撤去が必要になった際の責任の領域について賃借人と合意した内容についても記載します。


例えば、電気のアンペア数が足りないために工事する場合や、通信設備を増設するなど、物件自体に手を加えての工事が必要なケースもあるでしょう。工事の費用は誰が負担するのか、退去時の原状回復はどの程度までおこなうのか、話し合い合意した内容を記録してください。賃貸契約が開始される前の設備の状態を写真や文字で記録して、新賃借人と共有することも有効です。


合意した内容は、のちに契約書面を作成する際の裏付け資料となり、また万が一にもトラブルに発展し訴訟になった場合の、証拠資料となります。口頭での約束だけでは法的拘束力がなく、言った言わないの水掛け論になりかねません。

スケルトンと呼ばれる、物件と最低限の設備のみを貸す場合はもちろんのこと、残置物等も含めて貸与する居抜き物件の場合は、トラブルが起きやすい傾向があります。賃借人との協議内容は逐一記録し、証拠を残すことが大切です。


※協議履歴の蓄積についてはシステムでカバーできます。詳しくは下記をご参照下さい。

  共有を受けていない過去の経緯が多すぎる 物件毎の過去の経緯が把握出来ない。 最新の契約書を確認しても「現在に至るまでにどのような契約内容の変遷を経ているか」「実際にどのようなやり取りを経て現在の条件に至っているか」等、物件毎の契約のストーリーを把握するのに多くの時間と労力を費やしてしまう場合は、お役に立てる機能を備えております。 Pro-Sign賃貸借契約書管理システム


3.造作譲渡契約を締結する

残置物も含めて居抜き物件として賃貸借契約を締結する際は、賃貸契約のほかに造作譲渡契約も締結してください。

造作譲渡とは、貸主が施した店内内装を、そのまま新賃借人に譲り渡すことです。店内内装とは具体的には、壁・床・天井・テーブル・椅子・厨房機器・調理器具など一式を指し、残置物が含まれることもあります。

造作譲渡金額の平均は、東京都内の場合で、100〜200万円前後です。ただ前賃借人の残置物である、設備や備品の消耗度合いが不明瞭、といった理由から、無料で譲渡するケースもあります。


有償無償いずれの場合でも、故障等による修理費用は賃借人が負担すること、また退去の際の原状回復について細部まで取り決めし、造作譲渡契約に明記してください。万が一にも契約を遵守しない場合の罰則についても、契約書面上で明文化することが重要です。


4.無断の増改築には罰則を設ける

新賃借人の所有物以外の設備や備品に対して、無断で増改築しないよう、賃貸借契約書面に記載してください。

増改築の内容や状況によっては、新賃借人にそのまま貸与できることもあるでしょう。その場合、居抜き物件としてスムーズに新賃借人に貸すことが可能です。しかし汎用性が低いなどの理由から、退去時には撤去が必要なケースもあるでしょう。原状回復に際して大掛かりな工事が必要な設備や備品の増改築は、特にご注意ください。退去の際に、賃借人が原状回復の費用を捻出できないことも想定されます。


賃貸借契約を締結する際、無断で増改築した場合は契約解除の対象とする旨を契約書面に記載するのが一般的です。しかし法的には賃借人の利益と保護が優先されるため、退去を求めるのは難しいのが実情です。

こういった不利益を回避するために、賃借人が増改築をおこなう際は保証金の増額を求めるのも良い方法です。原状回復できない場合は保証金を充当する旨の条項を契約に織り込めば、貸主の負担を軽減できます。


まとめ

残置物は、貸主にとって大きなリスクをもたらすため、未然に発生を防ぐことが重要です。

残置物が発生しないよう、契約時点で責任の領域を明確に示すことは必須です。これに加えて、退去時にはこまめに物品の撤去状況を確認しながらアナウンスするなど、残置物を発生させないような対応が求められます。

また貸借期間中の増改築については、保証金を増額することで、原状回復できず残置物になる場合に備えることも大切です。

万が一残置物を巡って訴訟になっても、貸主の権利以上に賃借人の保護が優先される傾向があります。貸主の負担が増大しただけ、といった結果になることもあるでしょう。

貸主が残置物によるトラブルから身を守るためには、全方位に対して自衛手段を講じることが欠かせません。

賃貸借契約を締結する段階で細部まで取り決めし、残置物によるトラブルを招かないよう、是非本コラムをお役立て頂ければと思います。


  知らないと大きな損失に繋がる!原状回復工事で抑えるべきポイント 今回は、退去の際に行わなければならい原状回復工事と、それにまつわる工事区分(A工事/B工事/C工事)について解説しつつ、原状回復工事を適正価格で実施する為の重要なポイントをまとめていきたいと思います。 Pro-Sign賃貸借契約書管理システム


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